SNS型投資詐欺にどう立ち向かうのか

ブログ社会制度、インフラ、社会ライフ

総選挙の結果は見事に自民党が大負けし、大物議員も軒並み落選しました。与党・公明党は(政治とカネという観点では何も悪さをしていないのに)とばっちりを受けた格好で、党代表までが落選するなど、ちょっと可哀そうでした。

それにしても選挙民の多くは自民に「お灸を据える」ことを優先したのか、バラマキを公約に挙げた党にここぞとばかり投票しており、あまり中長期的に考えていないことが丸分かりです。

話は変わりますが、「SNS型投資詐欺」の被害者ら(29人と1法人)が29日、米IT大手メタ社に損害賠償を求め、横浜地裁など全国5つの地裁に一斉提訴しましたね。

報道によりますと、原告らはフェイスブック(FB)やインスタグラムなどで楽天・三木谷浩史社長やZOZO創業者・前沢友作氏らをかたった投資を呼びかける偽の広告を閲覧。その後LINEに誘導され、投資名目の指定口座に現金などを振り込んだということです。

原告らは、偽の広告をSNSに掲載することで利用者に損害を及ぼすことが予見できる場合、メタ社は調査確認を行い偽広告を掲載しない義務があるのに対応しなかったなどメタ社の過失を主張したうえで、およそ3000万円の損害賠償を求めています。

確かに、前沢氏などが自身の偽広告が掲載されているとしてメタ社に削除を求めていたのですが、同社は「検討中です」としながらも何も効果的な手を打っておらず(個別の削除はやっていたようですが)、実際には現在も政治家や芸能人の写真を使った偽広告が掲載されている実態は何も変わっていません。

ちなみにこうした実態については私も随分昔(調べたら10年も前の2014年でした)、ネット記事で警告したことがあります。その時の主な対象メディアはFBやLinked-inでしたが、今ではインスタグラムとX、それにLINEが加わるようです。

メタがこの件に冷たい態度を取る理由は、「日本での投資詐欺騒動なんて米国に比べたら10年以上遅れており、要は市民への投資教育が遅れているせいじゃないか。ほっとけばいい」といった米本社の姿勢が根底にある上に、これ以上広告の規制を強くすることは商売上得策じゃないと判断しているからでしょう。

実際のところ近年、FBなどの効果が目に見えて落ちており、広告主が他のメディアにシフトしているという指摘がされており、メタ社とするとちょっと怪しいからと広告審査を本当に厳しくしたり、クレームが頻発する広告主を排除したりする、といった「まともな対応」を採ることで広告の売上を減らすことは、日本法人としてもしたくないし、米国本社も「お茶を濁しておけ」程度にしか考えていなかったかも知れません。

でも今回訴訟事案になってしまったので、ようやく対応に本腰を入れる必要に迫られたのではないですか。

それにしても、こうした投資詐欺に引っ掛かる側の心理はどういうものなのでしょうか。心理学的考察という難しい話も含まれますが、それに関する解説記事もネット上にありましたので、役に立ちそうなので紹介します。「なぜSNS型投資詐欺に引っかかる人は減らないのか?

記事によると、SNS上の詐欺は、アクセスの容易さや匿名性、情報の操作が可能であるため、リアルな対面よりも騙しやすい環境だとのこと。投資詐欺を防ぐ最も基本的な方法は、「ハイリターンにはハイリスクが伴う」という投資の基本知識を覚えておくことだといいます。

言い換えれば、簡単に投資詐欺に騙されてしまう多くの日本人は、NISAやiDeCoに踊らされる前に、マネーリテラシーの基本から勉強しなさいということでしょうね(あら?メタ社の言いたいこととカブってしまう!)。


ところで、 『For JAPAN -日本を経営せよ』の11月放送分に再び出演します。

11月1日からの毎週金曜の21:30-22:00です。

テーマ:<日本のお金の大問題>(上記の話と何となく整合しますね)

ABEMAチャンネル:https://abema.tv/video/title/221-273

Youtube見逃し配信:https://www.youtube.com/@forjapan_project

以上