(退任を知らされた直後に書き綴りながら、「ご迷惑になるかも知れない」と考え、公開するのをしばらく躊躇していました。でもやはり公開します。以下、異例の文面となります)
私にとっての恩人であり、弊社が何度もお世話になってきた某クライアントの役員、Nさんがこの3月いっぱいで執行役を退任されます(6月までは取締役のまま)。
私には昔、諸事情によりNさんのご期待に十分応えられないまま、ある役割を去ることがありました。それにもかかわらず、Nさんは設立後まだ大した実績もない弊社をあるプロジェクトに使っていただきました。ご評価いただいたのか、その後幾つもの案件でもお声を掛けていただきました。
時には、通常の稼働能力を超えそうになってから頼まれるお仕事でも、Nさんのためであれば土日も厭わずやれました。うちの娘には「パスファインダーズってブラック企業だね、社長は誰?」などと皮肉られていましたが、それでもこの上ないやりがいを感じてきました。
こうした色々な方々が読めるブログで、一つのクライアント企業の一人の役員にだけ宛てて感謝の意をお伝えすることは今までなかったですし、これからも多分ないと思います。
それでも申し上げずにはいられません。今まで本当に有難うございました。そして本当に、本当にお疲れ様でした。
あなたがご自分を犠牲にされて、会社のために、周りの人たちのために、そして社会のために誰よりも尽くされてきたことを陰ながら存じており、この上なく尊敬申し上げております。
そしてこれほど適切に(社内従業員は当然ですが)外部の専門家を適切に活用できる役員の方を、30年以上コンサルをやっている私は他に知りません。
正直言って、Nさんが経営トップをやるべきだとずっと思ってきました。このクライアント企業とはお付き合いも長く、経営者レベルの方の大半を知っていますが、Nさんが断トツに優秀かつ人間力も抜群なのですから。そして本人にその気があれば、同業または類似業種の他社で引く手あまただったはずです。
某社長がぶち上げただけで実現への道筋がまったく見えない状態で任された、またはやむなくNさんが自主的にフォローに回った難しい案件が幾つもありました(その一部を光栄にも弊社がお手伝いさせていただき、曲がりなりにも形になったケースが幾つかあるので、事情はかなり分かります)。そうした「厄介な案件」ですらNさんは誠実にやり遂げ、無事に軟着陸または成功裏に完了させています。
そうした(もともと手を出すべきでなかった)「厄介な案件」に加え、長期的戦略視点からも短期的収益確保視点からも重要な案件を幾つも、Nさんは自主的かつ意欲的に開拓し抱えていました。
「いったいこの人はいつ休み、眠るのだろう」と心配でした。同時に、部分的であってもそのお力になれることが殊の外、私の誉でした。それら重要かつ難しい案件を、社内外の色々な力を結集させて軽快にこなすNさんはまさにスーパーマンでした。
そのスーパーマンがこの度、退任されるのです。正直、まだまだ先のことだと思っていましたし、むしろせめて副社長になるのが当然だと思っていましたので、何か割り切れないものすら感じます。会社っておかしな人事がまかり通るもので、似たような話は世間には数多いようです。
https://business.nikkei.com/atcl/opinion/15/200475/091500122/
でもこうした感想すら、ご当人にとっては迷惑な「無責任な第三者の人事予想」に過ぎません。なので、ここまでにしておきます。
そして(どうせ色々な人から頼まれて改めて何かされるのでしょうが)せめてしばらくでもご自分のお体とお心をゆっくりと休ませてあげて下さるよう、切にお願い申し上げます。本当にお疲れ様でした。