知恵があれば何もない地方にも「体験好きな外国人」を呼べる!

グローバル

10月28日(月)の未来世紀ジパングは「再発見・・・日本人が知らないニッポン!」。日本人が忘れてしまったり、気づかなかったりする日本のいい所を、外国人が教えてくれると言う現象を追った「ニッポン再発見シリーズ」の第2弾。外国人が興味を抱き、日本人がその良さを知らない「日本の観光名所」をお届けするというのが今回のテーマ。

今年来日人数が急増しているのがタイ。7月、日本に来るのに今まで必要だったビザがいらなくなり、気軽に旅行できるようになったからだ。元々タイ人にとって、日本は根強い人気の観光地だったが、実際に来日できる人は富裕層かビジネスに限られていた(小生の友人などはこの典型)。それが今や中間層が膨らみ、円安もあって、観光客がどっと押し寄せるようになっている。タイでの観光番組や観光雑誌も人気だ。

そんな日本ブームに一役買っているのが、毎週日本だけを取り上げる人気旅番組「Majide(マジで)Japan」だという(これは知らなかった)。若者向けの放送局BNGチャネルで週4日も放送されている、この超人気番組は、東京や大阪などの都会には行かない。なるべく他の観光番組が採り上げない、地方の変わったところを紹介している。これまで採り上げたのは千葉、熊本、山口など地方ばかり。そして、今回は滋賀県。大きな湖なんてタイにはないし、一般のタイ人には想像しにくいので興味を掻き立てるからだ。

関西空港に降り立った旅番組のクルーは、6日間で1時間番組を6本撮影すべく取材を完了させる。移動の仮定もカメラを撮影しながら細かくリポート。観光客の目線である。滋賀県に着いて一番に訪れたのは比叡山延暦寺。さすが熱心な仏教国。タイと日本の違いを中心に細かく取材するのだが、座禅を体験するなど日本の中途半端な観光番組よりよほど真剣かつ体験的。琵琶湖では台風の接近により、お目当てのウォーターボールは体験できなかったそうで可哀そうだが、代わりにカヤックを風雨の中で体験・リポートし、その様子を撮影。タイでは体験できないものが、とにかくウケるのだ。

続いては英語のガイドブックとしては、世界一の発行部数を誇る「ロンリープラネット」。実に細かい情報がびっしりと書き連ねてある。写真は一切ない。日本を担当する専属ライターであるアンドリューさんが来日し、今回は福岡県を久し振りに取材。以前に取材し掲載されている旅館や釣り堀兼和食レストランのサービスが変わっていないかを確かめ、他に新しい面白い情報がないか探す。日本語がペラペラな彼だが、ホテルや旅館では身分を隠して覆面調査をすることもある。「ロンリープラネット」の読者目線で、快適に楽しく過ごせるかどうかを確かめているのだ。彼の視点は、「体験ありき」で、ストーリーがあることが大事だという。柳川名物の川下りなど、日本における暮らしを「体験」出来る場所を数多く、本に載せたいと熱心な取材である。

スタジオの話で面白かったのは、外国人観光客に人気(だが日本人にはさっぱり分からない)なのは「新幹線の『新富士駅』で最高速度270kmで通過するのぞみを見ることだという話。それと小生も知っているJAPANGUIDE.COM(訪日外国人向け観光情報サイト)だ。これは実に詳しい、しかも旬な情報が載っている。

最後に紹介されたタイ人向け北海道・歌登の4泊6日の体験ツアーがとても興味を引いた。千歳空港からバスで移動した一行が向かったのは、まず登別温泉、小樽という典型的な観光ルートだが、これはあくまで前哨戦。本命は道北の田舎にある歌登。日本人でさえ聞いたことのない町にある「うたのぼりグリーンパークホテル」に到着した一行は、浴衣姿に着替え、夕食時の和太鼓の後はなんと「夏祭り体験」。本当に夜店が色々とあり、射的や金魚すくい等々。ユニークな宴会が終了後、一行はバスで夜間の蝦夷鹿を見に行く。さらに翌朝はオホーツク海から上る朝日を見に行く。客は大満足だ。

この仕掛け人はホテルの支配人。グリーンパークホテルは隣接するゴルフ場が閑古鳥が鳴く状態になり、一時は経営不振に。そこで再建策として東南アジアの客をターゲットに絞ったのだ。タイの人たちが体験したい日本の風物を盛りだくさんにしたところ大好評。年々客が増えているとのこと。「観光資源はないけど、なければ作ればいいと考えました」という支配人の発想に拍手。無いものねだりで国や自治体に頼ろうとする地方企業が多い中、こうした知恵が地方を立ち直らせるのだ。