ベンチャー企業・ユーグレナの可能性とフォーカス喪失の懸念

ビジネスモデル

小生が今注目しているベンチャー企業の一つは(株)ユーグレナである。ミドリムシ食品やミドリムシ燃料の開発企業である。ユーグレナは脅威の生命体「ミドリムシ」を量産する技術を確立したことで、世界の食糧問題や、エネルギー問題を解決するかもしれないという、夢と技術のある会社である。ベンチャーとはいえ、東証マザーズに上場しているのだから、既にある程度のレベルにまで来ているともいえる。
http://www.euglena.jp/

少し前の日経ビジネスでも紹介されていたが、旧ライブドアの堀江貴文氏が出資しバックアップしていたことで、最初は注目され、その後はバッシングを受け、ようやく最近普通の、しかも大手企業(JX日鉱日石エネルギー、日立プラントテクノロジーなど)との提携により軌道に乗りつつあるようだ。
http://midorimushi-kenko.com/archives/205

10/16(水)放送のNHK「探検バクモン」では「魔法の道具をつくり出せ!」と題して、東京大学本郷キャンパス内にあるアントレプレナープラザを案内してくれた。東大発のベンチャー企業を支援する施設である。訪ねた企業の中の一つがユーグレナだった(他にはプロメテック・ソフトウェア(株)=水や油などの流体シミュレーション、フェアリーデバイセズ(株)=人間の演奏をコピーするバイオリン、人と会話する即時応答システムなどの開発、の2社で、これらも面白かった)。

ミドリムシ(学名=ユーグレナ)には人間が必要とする栄養素のほぼ全てである59種類もの栄養素が含まれており、あとカロリーさえあれば、人は生きて行けるとまで言われている。「夢の食品」であり、注目度も急上昇している。特に資源に恵まれない発展途上国の食糧不足問題を解決する手段となることが期待されている。

日本では既にサプリメントとして多くの商品が販売されており、その効果は主に次の3つ。
1.便秘や冷え症の解消、2.ダイエット・デトックス、3.アレルギー症状の緩和と体質改善

さらにバイオエネルギーにも転用可能とされ、ますます注目度を浴びている。ただ、個人的にはあまり手を拡げて欲しくない。確かにJX日鉱日石エネルギー、日立プラントテクノロジーとの資本提携はまさにエネルギー分野が主だろうから、抜き差しならないところまで進んでしまっているのかも知れない。しかし新エネルギーとしてミドリムシが本命の一つになる可能性は高くないと思える。それならば既に世界の食糧問題解決の決定打となる有力な候補なのだから、是非その分野にフォーカスしてもらいたいと思う。なんといっても所詮はベンチャー企業であり、研究者などの内部資源に大いに限りがあるのが現実なのだから。

世界トップクラスの大学と日本の有名大学の格差がどんどん開いていく状況(最近の日経ビジネスでも採り上げられていた)を考えれば、日本の大学発のベンチャー企業が世界の抱える深刻な問題を解決するというのは非常に痛快かつ素晴らしいことだ。是非ともあれこれと経営・技術資源を分散させることなく、食糧問題解決にまい進して欲しいものだ。