未来世紀ジパング、8月5日(月)の放送は「オージービーフと讃岐うどんの行方~TPPでどうなる!?」。身近な食材を通じて、TPP時代を読み解くという趣向だった。
ハンバーグチェーン・びっくりドンキーでは、メニューはすべてオーストラリア産とニュージーランド産の牛肉を使っている。店舗数は約300店舗。さらにオージービーフ100%を売りにする店を東京・麻布十番の一等地に出店、売りは肉本来の味がわかるローストビーフだ。今やオージービーフは安さだけでなく、味をウリに日本に攻め込んできている。日本での消費シェアは36%になっているという。
一方、オーストラリアの街のレストランにはWAGYUの文字が目立つ。いま、オーストラリアは空前の和牛ブーム。彼らは霜降りの美味しさを発見したようだ。実は、この和牛は日本から輸出したものではなく、WAGYUという名のオージービーフだ。和牛とステーキで有名なアンガス牛の掛け合わせを重ね、美味しさを追求した、オーストラリア屈指のビーフであるという。これは食べてみたい気になった。
続いて番組は、TPPの重要5品目のなかの麦に注目する。讃岐うどんの本場・香川県。県内に約800店舗もの讃岐うどんのお店があるといわれている。魅力は安さとコシの強さだが、お大手松下製麺所を取材してみると、使っていた小麦粉はオーストラリアのASW(オーストラリアン・スタンダード・ホワイト)というタイプの品種だった。ASWは日本のうどん用に品種改良されたものである。その後に映された、豪州有数の小麦の生産地であるクイーンズランド州での畑の広さは1500ヘクタールという規模。全く広大な土地に見渡す限りの小麦が栽培されている光景はさすがに圧巻。コスト競争力も高そうだ。
一方、香川県高松市にある讃岐うどんの店・千ちゃんでは香川県産の小麦「さぬきの夢2009」を使ったうどんを出している。さぬきの夢を100%使用しているお店は県内に11店舗あるが、この小麦は豪州産に対抗すべく、県とJA香川などが10年以上かけて作ったものだった。JAが地元農業に本当に役立つことを、しかも長期レンジの研究で貢献するなんて本当に珍しいことだが、素晴らしい。
日本とオーストラリアは、真逆の関係。食、エネルギー、技術力など、「持つ国」「持たざる国」ゆえ、相互補完的に両国が手を組めば、自由貿易の時代、日豪は最強のタッグになるだろうと今回の沸騰ナビゲータ・太田氏は指摘する。日本はオーストラリアとタッグを組むことで、自給率ならぬ「他給率」という発想で、食の安定的な確保が可能になるという。そんな単純なものかどうかには少々疑問もあるが、少なくとも「優良顧客」として関係強化に踏み込んでいくことはできよう。