3月28日に放送された「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)の「GLOBAL WATCH」コーナーで、世界から経済が不安視されているスペインの2社が紹介されていた。低迷経済にあっても、企業戦略次第で好調な企業も存在しているということだ。
1つはバレンシアにある大手スーパー「メルカドーナ」。同社は1年前に比べ7%の伸びを記録するなど順調そのもの。この店が行っている商品開発はかなりの顧客志向。来店客を片っ端から開発室に呼び込み、開発中のPB商品を使わせて、その感想を聴く。
同社は客を「BOSS」と呼び、そのニーズを最優先するよう店員に指導している。客の感想も、店員の接客態度のよさや気づき具合を褒めるものが紹介されていた。
同社では74000人の従業員が他社より賃金が高く、全員正社員!そのうち4000人はなんと欧州危機の最中に採用されたという。同社は人件費にはコストを掛けるが、宣伝広告費には一切使わないという。これはまさに「経営戦略」である。このあたり、日本の多くの小売業にも見習ってもらいたいものだ。
もう1社は30代から60代をターゲットにしたファッションブランド、「ダンダラ」を展開するメルレッティ社。番組では接客のうまい店員を表彰する様子が紹介されていたが、それはいわば当たり前。
同社の特長ある戦略は、社員の「モチベーション向上」。「社員が大事にされていると感じ、ハッピーなことが重要なんだ」と強調する店長会議の様子が紹介されていたが、日常的にこの方針がそこかしこで伝えられているのだろう。この戦略を打ち出してから売上は2割増えたという。
また、中国にシフトしていた生産体制も、中国の人件費アップに伴い国内に工房を戻しつつある。ユーロ安・元高も大きく影響していよう。これにより国内雇用にも貢献できるとのコメントもあり、彼らは欧州危機をしたたかに生き抜こうとしている。