第5回「ベトナムブラザーズ」なるイベントに参加した。「ベトナム国費留学生50人×日本の経営者50人の交流会」とのことである。
http://www.k-tsushin.jp/global/seminar/vietnambrothers5.html
ベトナムに進出中・検討中のベンチャー・中小企業(多分、ベトナム人の採用に興味が強い会社が多い)と、ベトナムから日本に国費留学で来ている優秀なベトナム人学生との「お見合い」的な色彩をもつイベントである。弊社はまだベトナム人学生の採用は時期尚早なのだが、人脈作りとして、またどんな企業や学生が集まるのか興味があり、参加した。
実際に会話した20人程度の人たちから判断すると、ベンチャー・中小企業側はその前口上通りだったが、現役学生と同じくらいかそれ以上に「元留学生で現在日本企業に就職しているが、いずれ母国に帰りたいと考えている若いベトナム人ビジネスマン」に巡り合った。彼らは第1~4回のいずれかで参加した人たちであり、もちろん優秀な元国費留学生が大半である。したがってこれはこれで将来の楽しみとして収穫であった。
それにしても、途中で挨拶されたベンチャー企業の経営者のように、ベトナム人の学部を卒業したばかりの人を現地拠点立ち上げの責任者として母国に派遣するというのは、過激すぎる例ではある(MBAの卒業生だったら全くおかしくはないが)。あとベトナムの人件費の安さに注目して労働集約産業であるシステム開発関連の業種が注目して動いていることも感じた。しかしアウトソーシング先としてならともかく、現地進出して現地需要(進出した日本企業相手を想定しているようだが)を取り込もうとしているIT企業は、自社に十分なスタッフ管理能力がないと無理なのだが、あまり理解していないようだ。この両例に限らず、このイベントでは日本人経営者側の期待過剰が目についた。
このイベント参加企業に限らず、ほとんど無手勝流に近い状態で(つまりとりたてての戦略なしで)中国や東南アジアに進出する例がまだまだ多いのには驚かされる。よくいえば度胸があるのだが、ありていに言えば現地市場を舐め切っているとしか小生には思えない。実際、そうしたやり方で中国・東南アジアに進出し、失敗して逃げ帰った例を幾つも聞いている。もう一つの失敗パターンは、たまたま知りあった現地出身の人の人脈に頼って進出したのはいいが、全く業種的には無関係の人脈のために見事に失敗する例も少なくない。これもまた安易な進出としか云えない。
いくら資源に余裕のないベンチャー・中小企業だろうと、知見のない海外市場(しかも勝手の違う途上国市場)に進出する場合、事前に事業戦略仮説をきちんと描かずに(そしてその検証をせずに)いきなり進出するのは無謀であり、貴重な時間とカネと人的資源の無駄遣いとしか言いようがない。是非、冷静になって欲しいものだ。
PS このイベントは面白いが、会場の食事はいただけなかった。おいしいベトナム料理は無理と思うが、コストを削った中途半端な洋風料理は日越いずれの人にもウケないと思う。