BS NHKのドキュメンタリー番組 消費社会はどこに?「食品廃棄物は減らせるか?」を観た(録画)。ドイツの制作である。
まずは「賞味期限」の話。これはメーカーが一定の品質を保障している期限で、それを超えたからといって食べたからといって食中毒にはならない。しかしスーパーやコンビニでは賞味期限が近づくとこうした食料品を廃棄処分する。理由は「顧客が買わなくなるから」だという。
次は規格外の問題。スーパーやコンビニで捨てられる前に、食料は農場でも大量に廃棄処分されるという。映像でも、小さすぎるジャガイモと大きすぎるジャガイモは直ちに畑に捨てられていた。「小売店の注文では大きさが決められており、それ以外のジャガイモは受け取ってくれないから」と農場主が寂しそうに述べていた。
どちらも日本でも同様に嘆かれている話だが、合理性大国のドイツでも同様とは深刻である。
フランス最大の卸売市場ランジスでは、当日せりで落とされなかった野菜や魚介類はすべて廃棄処分されていた。この廃棄物をフード・バンクメンバーが回収していたが、ごく一部に過ぎない。
国連食料農業機関の推計では収穫された農産物の約半分が何らかの形で廃棄されていると言う。しかも加工されたのも含め、小売店に並んだ多くの食料がさらに捨てられるのだから、一体先進国はどれだけの食料を無駄にしていることか。番組は問いかける。「これは誰の責任でしょう。そして誰がこの代償を払っているのでしょう」と。もちろん、消費者と小売業者の責任であり、消費者と地球の環境がその代償を払っているのだ。
まとめとして「消費者は賢く食べ、小売業者は責任を持って売り、行政は廃棄物に罰金を科せ」と番組は訴えているが、最貧国での餓死と世界での水不足が深刻化する中、先進国は何と愚かなことをやっているのかと愕然とする。