後手後手に回る政府の不甲斐なさの一方で、見えてきたポジティブな側面

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ここまでのところ日本は多大な幸運と大部分の良識ある市民の行動に恵まれて感染爆発と医療崩壊には至っておりませんが、いつそうなってもおかしくない瀬戸際にずっとあることは諸々の情報から明らかです。

ではここから日本はどうすべきなのでしょう。日本は自由主義国家なので、中国のような強権的な対策はとれず、彼の国は参考になりませんが、他にも身近にお手本があります。

台湾では水際での封じ込め作戦とIT技術を用いた感染症対策、そして市民参加の警戒モードの浸透により感染拡大自体を抑え込みました。実に見事です。

韓国では初期対応は失敗しましたが、その後の徹底的な検査実施体制とITによる感染者トレースにより数次感染を極小化することに成功し、今や他の先進国に先んじて警戒モード解除に踏み出しました。感染再拡大のリスクも分かっていながらも、でも元々経済苦境にあるため早めに解除したのでしょう。再び感染が拡がっても抑え込めるという自信があるため、こうしたリスクを取れるのですね。

残念ながら日本は水際作戦もPCR検査体制もIT活用も、何もかも中途半端で穴だらけです。何より台湾の蔡英文総統、陳建仁副総統や衛生福利部長(厚生省大臣)・陳時中氏や、韓国のチョン・ウンギョン中央防疫対策本部長のような、防疫に知見があってリーダーシップもある人材が残念ながら日本政府・厚労省にはいないようで、後手後手に回ることを繰り返しています。

本当は休業要請に伴う補償と雇用維持への協力金といった「予防策」に莫大な金を投じるのが最も費用体効果が高いのです。後手後手に回るほど対策の費用は膨れ上がるというのが平成の時代を通じて何度も経験したパターンですが、日本の政治家には学習能力はあまりないようです(もしかしたら彼らの大半が日本の財政には興味がないのかもしれませんが)。

でもこんな困った状況でもいいこともあります。(使い勝手の問題も多々ありますが)あれほど浸透しなかったテレワークが今や多くの企業で普通に使われるようになるなど、ITによる日本の社会・経済の改革は確実に進むでしょう。また、大阪と北海道の知事が若いのにすごいリーダーシップを持っていることを知ることができました。

そして大震災の時に見られたように、罰則なしの外出自粛要請や休業要請にも大半の市民や事業者が自主的に従ってくれることが改めて証明されています(もちろん、一部のどうしようもない連中はいますが)。

これは政府が怖いからでもないし、政府を信頼して唯々諾々と従っている訳でもなく、それがひいては自らの社会と経済を守ることになると合理的判断に基づいて自主的に自粛しているのです(もちろん他者からの「同調圧力」に屈した人たちも少なくないでしょうし、政府は市民の「良識」に甘えすぎている側面はありますが)。それだけ民度の高い国民なのだと誇っていいと私は考えます。