先週の米国でのニュースはハリケーン「ハービー」が圧倒していた。この大型ハリケーンは数日間にわたってメキシコ湾上空に停滞し、2005年のハリケーン「カトリーナ」による降雨量の倍以上(約57兆リットル)の雨を降らせ、ヒューストンを中心とする地域に大洪水をもたらし、停電と通信途絶による混乱と孤立を巻き起こしている。
テキサス州の避難者は3万2000人を超えたと伝えられている。小生は大学院をテキサス大学(オースティン校ですが)で過ごしたので、とても他人事に思えず心配だ。ヒューストン一帯は一大産業地なので、その影響を考えると被害額は「カトリーナ」時を超えることはほぼ確実だ。
皮肉なことに、幹部の更迭や辞職が相次いで混乱のさなかにあったトランプ政権は批判の矛先を逸らすことができそうだし、却ってこの国難により一体感を求める動きの中で立て直しできるかも知れない。ちょうど9.11同時多発テロ事件後のブッシュ(子)政権が支持率を高めたように。でもこんな天災を政治の道具にして欲しくはない。
唯一の救いは、被災者への支援の輪が全米そして世界に広がっていることだ。最近とみに深刻化している米国社会の「分断」傾向が、この支援の輪で押し止められることを望む。