ビッグデータ解析をAIと呼ぶことがもたらしたNHK番組の炎上

ビジネスモデル

何やかやとAI絡みの話が続いている昨年から今年にかけてのプロジェクトだったが、ここでようやく途切れた(単にAIが「解」にならないだけかも知れないが)ので、少し客観的にAIの応用と限界を考える時間をいただいたと思える。

そんな中、少し前に放送されたNHKスペシャルの「AIに聞いてみた」が、ネットで大きな話題になり、かつ炎上していることを知った。この番組はNHKが独自に開発したAIに過去の統計データを分析させ、AIを通じてさまざまな社会問題の背景を炙り出すという番組だった。
https://www.nhk.or.jp/docudocu/program/46/2586960/index.html
http://www6.nhk.or.jp/special/detail/index.html?aid=20170722

番組自体は面白く拝聴したが、むしろそれが炎上した事実に興味を覚えた。とはいえ、それは今のAIに過大な期待を抱いている人たちや、限界を知っていながらわざと煽っている人たちが多過ぎることの裏返しではないだろうか。要は、AIは「人口知能」ではあるが、「知性」ではないということだ。例えば次のコラムなどはその点を大上段に指摘しNHKを批判しているが、今更の感は強い。
http://toyokeizai.net/articles/-/182300

また、「当初より結論を予想してAIの答えを引き出しているだけではないか。報道したいテーマが先に存在し、それに対してAI……という名のデータベースを駆使して、それらしいデータの相関関係を見つけようとしたのではないか?」と批判しているが、むしろ実際はクリアな相関関係が見つからないことが多く、解説する人たちが戸惑っていたのが面白かった。

多分、ミッシングリンクがそれぞれにあるのだろう。正直、「これ統計学の処理を曖昧にして、あたかも原因→結果のように見せて、わざと視聴者が混乱するように使っている」と感じたのも事実だ。これがNHKネット炎上の要因だろう。

むしろNHKはエンターテインメントとしてAIを採り上げて、統計的に面白い組み合わせを見つけるツールとしてAI(もどき)を自分たちで作ったのだろう。ここでNHKが開発したのはビッグデータ解析ツールに過ぎず、確かにこれをAIと呼ぶことを詐欺的と非難するのは言い過ぎではないかも知れない。でもマスメディアのやることですから、こんなもんですよ。