電通における、過労とパワハラから生じたとみられる自殺事件が波紋を呼んでいる。この人気企業が「隠れブラック企業」だったのではと指摘されているのだ。去年4月に発足した労働局の「かとく」(過重労働撲滅特別対策班)が臨検監督という抜き打ち調査に入っているそうだ。
この「隠れブラック企業」と「かとく」についてNHKの「クローズアップ現代」が11月2日(水)に詳しく報道していた。
それによると、通称「かとく」は東京と大阪に置かれ、大企業をターゲットにしている。去年4月に発足してから、これまでに大手企業など、5社を摘発してきている。例えば、飲食大手のサトレストランシステムズに強制捜査に入り、今年(2016年)9月、会社と店長ら5人を労働基準法違反の疑いで書類送検した。電通にも最近捜査に入っている。
その調査は徹底している。勤務記録やタイムカードを調べるのは当たり前。怪しいと思えば手書きの残業時間の報告書や、当事者の交通電子カードでのゲート通過時間まで調べる(番組での内容)。
世間的にはホワイトだけれども実態はブラックに近いという企業を「おしろい企業」ということも知った。このサトレストランシステムズや電通がまさにそうだ。制度を整えて、おしろいで厚塗りするようなことをやっていた。
電通も長時間労働の是正に向けて、夜10時以降の残業を原則禁止にしたという。しかしそれだけでは、自宅に仕事を持ち帰る人間が続出するだけに終わるだろう。番組でも大和ハウス工業の過去の同様の問題事例が紹介されていた。
これではだめで、企業の生産性や創造性は地に落ちる。現場でマネジメントや業務を改善する、働く人の意識も変えることをやっていかないと、この問題は解決しない。