24時間訪問介護は介護離職歯止めの切り札になり得る

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介護離職。現代の日本において深刻な問題だ。誰もが自分の親を見捨てたくはない。

同居の老親の要介護度が2以上に上がった段階で、家族の誰かが付きっ切りに近い状態を余儀なくされる。専業主婦の妻がいれば、彼女が世話をするというのが典型的な姿だろう。そうした「内部戦力」が居なければ、施設に入ってもらうか、夫婦のいずれかが職を辞めて自宅介護に専念するという決断をしなければいけないのが普通だ。いずれも苦渋の決断だ。

小生もそう思っていた。今、介護が原因で仕事を辞める介護離職は、年間10万人。介護のために仕事を辞めざるを得ない、または、転職を迫られているという離職予備軍は42万人にも上っているらしい。しかしそれしか選択肢がないというのは必ずしも正しい情報ではないことを今日知った。

7月6日(水)に放送された「クローズアップ現代+」の「介護離職、こうして切り抜けました ~これは使える!24時間訪問介護~」は衝撃的だった。24時間の訪問介護サービスという選択肢があることを知った。今、注目だそうだ。それはそうだろう。

朝・昼・晩と一日数回ヘルパーが自宅を訪れ、家族が不在でも介護をしてくれる上、利用料は定額。1割負担なら介護度が進んでも3万円ほどだ。育児と介護のダブルケアに悩む人も利用し始めている。

番組で紹介された最初の例は、自宅で寝たきりの母親の要介護度は、最も重い5。本来は、付きっきりの介護が必要なはずだが、この男性は、毎朝6時半には仕事に出かける。彼が利用しているのが、24時間の訪問介護サービスだ。このサービスの特徴は、ヘルパーが一日に何度も自宅を訪れ、ケアを行う点だ。出勤直後の朝7時、午前10時、昼の12時、…夜10時。

従来の訪問介護では通常、ヘルパーの訪問は1日1回程度だ。決まった時間に訪問し、最短でも原則30分以上という縛りがあった。これに対し、24時間の訪問介護ではヘルパーが毎日、何度も自宅を訪問する。短ければ15分程度の短時間のケアを繰り返すのだ。

ヘルパーの対応は、夜間も行われている。24時間体制が整えられ、緊急時には駆けつける。しかもこのサービス、利用回数に限らず、同じ料金に設定されており、要介護5のこの母親の場合、食費を除き、自己負担の割合は1割で、月に2万8,000円ほどだ。これなら普通の家庭でも使える。

24時間の訪問介護を利用して、育児と介護のダブルケアを乗り越えようとする家族も紹介されていた。このサービスがなかったら、夫が介護離職を余儀なくされていたかも知れないという。まさに救いの神だ。

これだけ便利な制度だが、実は利用が広がっていないという。利用者の数は全国で、たったの1万3,500人ほど。事業所の数も少なく、全国の市町村の8割近くで、このサービスを行っている事業所がないという。なぜ、こんなに広がっていないのか?

やはり知られていないということらしい。もうサービスが出来て4年も経っていながら、なかなか知られていない。確かに、この領域に興味のある小生(我が家自体は今のところ要介護者はいないが)でさえまったく知らなかった。それで事業者も、本当に利用して頂けるのかという不安も出て、二の足を踏んでしまうという事らしい。そして仮に地域に存在していても、大半のケアマネージャーは自分が所属している業者の施設にこうした24時間サービスというメニューがなければ勧めないのだろう。この部分は制度の欠陥だ。

自治体の職員が積極的に事業者に勧めて地域にサービスを開始させ、そのうえで地域住民に対しこのサービスの有効性などを積極的に発信することが必要だろう。