驚きました。長年の知り合いが社長として謝罪しています。20年少々前にお仕事をした会社です。全国ニュースになっています。社会面の一面になっています。
当時は幾つかの戦略策定と実行支援を行い、一時は随分深く関係したこともあります。しかしその後、小生もベンチャーの仕事をしたり、ユニシスに入ったりと色々と立場が変わり、先方の社長も何代か経ていますので、その20年の間は仕事上のお付き合いはありませんでした。
ただこの現社長とは年賀状のやり取りはしていますし(でもこの知人が社長になっていることも知りませんでした)、会社について経済ニュースや株式欄で時折観ることはあり、最近は業績好調で株価も一時の10倍程度に上がり、陰ながら喜んでいたものです。それがこの数日、不穏なニュースに接し、「えらいこっちゃ」と思っていたら、本当に大変なことになってしまっています。
小生のコンサルティング活動とは全く関係ないところでの不祥事とはいえ、小生が本格的にコンサルティングした会社で不祥事というのは初めての出来事です(逆に「不祥事を起こした会社の再生過程でコンサルティング」をしたことはあります)。こちらも心穏やかではありません。
この会社の人たちは皆、性格が明るく、まじめで優しい人たちばかりです。不祥事に関与したのは非本業の事業に携わるたった一人(もしくはその後継者との2人)だとされており、本業に関わる大部分の社員には寝耳に水でしょう。
しかし残念ながら、その1人が検査結果を不正に誤魔化したことを長年の間、誰もチェックできなかったのです。これは明らかに会社としての致命的な不作為です。その状態で国の認定を得ていたのですから、(組織ぐるみの犯罪ではないとは信じますが)結果として社会を騙していたことになります。
しかも昨年2月、社内で疑惑が浮上して社内調査をやっていたと報道されています。その結果、「問題ない」と報告が幹部に上がり、そのまま当該製品の販売は続けられていたそうです。
歴代の経営者たちがそうした内部統制上の不備を放置していたため、そして社内調査が不徹底だったため(多分、性善説に基づくやり方を執ったのでしょう)、不正が積み重ねられていたのです。全く残念極まりない事態です。
その結果、同社の当該事業はビジネスを失い、関係する部門は一挙にマイナス収益に陥るはずです(もしかすると事業撤退するかも知れません)。それに加え、交換費用と損害賠償は膨大なものとなり、大きな損害を被ります。しかも会社としての社会的信用を失うため、好調だった「本業」のほうも一挙に先行きが不透明になってしまいます。何ともやるせない事態が懸念されます。