予想通り、自公与党が大勝利に終わった今回の総選挙です。野党の選挙態勢が整っていない間隙を突いた、完全に安倍総理の作戦勝ちであり、見事という他にありません(うちの娘には嫌われていますが)。
それにしても民主党はひどいものですね。前回政権から転げ落ちたとはいえ、野党第一党の自覚が全くないまま無為に2年を過ごしていたとしか言いようがありません。
候補者の開拓も他の野党との選挙協力も大して進められないままに来たため、「政権交代」の掛け声すら挙げられなかったのですから。お陰でマスメディアに自公の圧倒的な勝利が何度も予想され、そのせいで選挙民が大いに白けて投票率は戦後最低だそうです(それでも投票放棄するのは選挙民として最低の行いです)。挙句の果ては野党第一党の党首が落選です。
海江田さんはもともと選挙に強いわけではないです(かの与謝野さんと当落を争っては比例区で復活することを繰り返していた記憶があります)が、よほど地元選挙民から期待されていないということを露呈したわけです。
これで次の参院選挙までは国政選挙はないことがほぼ決まりです。自民党内では安倍さんの権力基盤がますます固まり、緊張感に欠けて横暴な振る舞いをする側近や自民党幹部が続出するのではと懸念されます。一番の懸念は、肝心のアベノミクスの「第三の矢」が全く成果を上げていないまま、手を広げていくことです。
今、日本は歴史上未曾有の財政危機と超高速高齢化の進展の中、「第二の矢」=カンフル剤としての公共事業が(人手不足によるクラウディングアウトのため)乗数効果が切れ掛かる一方で、「第一の矢」=日銀の金融政策が効き過ぎて円安に振れ過ぎたため、国内に依存する中小企業や消費・サービス系企業と大企業従業員以外の一般消費者が苦しむ状況になっています。
このまま行くと景気が再び悪化し、インフレだけが進行する事態=スタグフレーションに陥る可能性が大いに出てきました。安倍さんが今すぐにできるし、しなければいけないことは、日銀・黒田総裁に対し「物価上昇目標2%はもう撤回してよろしい。むしろ日銀本来の目標である物価安定にギアを切り替えて欲しい」と告げることです。つまり大成功した「第一の矢」を取り止めることが必須なのです。
その上で「第三の矢」に集中し、既得権益を持つ人々を排し、労働以外の岩盤規制をあらゆる手段を使って解除または緩和して、ビジネスチャンスを作り出していくことです。今までのような強者・富裕者だけが喜ぶアベノミクス「片肺飛行」政策を続けていてはミドル層がどんどんやせ細って消費をしなくなり、間違いなく最悪のコースに日本は向かうことになるでしょう。それだけは避けて欲しいというのが小生の願いです。