釜石の復興は森の力と人の工夫

ビジネスモデル

11月12日(水)に放送された外人レポータが送るドキュメンタリー番組「TOMORROW」(NHK)は「復興は森から~“地元木材”住宅プロジェクト~」の後編でした。舞台は岩手県釜石市。リポーターはモーリー・ロバートソンでした。

津波は岩手の林業に実に大打撃を与えました。釜石地方森林組合では事務所が流され、組合長をはじめ5名が命を奪われました。さらに最大の卸先だった沿岸の合板工場が壊滅的な被害を受け、八方塞がり。組合は閉鎖の危機に見舞われました。

この状況から釜石地方森林組合を復活させたのは、参事の高橋幸男氏。がれき撤去作業やバイオマス燃料用の間伐材販売で体制を持ち直しながら、森の力で復興に貢献しようと立ち上がったのです。

そこでぶち上げたのは、被災者のために地元の木材を使って30坪1千万円で良質の住宅を建てるというのです。名付けて「地産地‘工’」プロジェクト。地元の木材加工所や設計事務所、工務店に呼びかけたのですが、周囲は大反対。とても可能な話とは思えなかったのでしょう。

それでも同志である建築設計士がデザインを、昔から顔なじみの木材加工所が格安での木材加工を引き受けてくれるのですが、工務店がなかなか手を挙げてくれなかったといいます。一計を案じた高橋氏らはこのプロジェクトで建てた住宅の見学会に工務店経営者を招待し、消費者の生の声を聞かせたのです。途端に参加する工務店が増えたといいます。まぁ現金なものですね。

高橋氏たちが数々の困難に直面しながらも、持続可能な林業の確立を視野に入れて、木材の力を活かした町の復興に取り組んできた姿を伝えてくれました。この調子で林業と地元の復興を果たしてほしいものです。