7月10日に放送された「カンブリア宮殿」は旭硝子の石村和彦社長を招いての「ガラスの王者!“難きに挑む”巨大企業の知られざる実力」。知られざる最先端素材、ガラスの世界を知りました。
古代からある素材ながら今でも進化を続けている素材、ガラス。窓ガラスや自動車ガラス、スマートフォンのカバーガラスなど、様々な分野で使われています。カンブリア宮殿では、そんなガラス業界で圧倒的な強さを誇る旭硝子を取り上げました。透明な板に様々な機能を持たせ、今や年商1兆3千億円を稼ぎ出すガリバー企企業、AGC=旭硝子の知られざる技術力と強さの秘密に迫ってくれました。
旭硝子は、板ガラスで世界シェア首位争いを繰り広げ、液晶ガラスは世界2位、自動車ガラスは3台に1台が旭硝子製という圧倒的な強さを誇っているそうです。その秘密は、液体に近い分子構造を持つ(結晶構造を持たない)ガラスという素材の特性と、それに様々な機能を持たせる同社の高い技術力にあります。
暑さや寒さを室内に伝えない断熱ガラス。反射や映り込みがほとんどない反射レスガラス。フロート法で世界初の0.05ミリという極薄ガラス。透明なガラスとは思えない特徴を持たせることが出来るのですね。そして住宅で爆発的なヒットを飛ばしているのが「Low-Eガラス」という、西日の暑さをカットしてくれる、夏でも快適に過ごせる機能を持ったガラス。金槌で叩いてもヒビ一つつかない、スマートフォンに採用されるガラス「ドラゴントレイルX」。業界初の、紫外線を99%カットする自動車用ガラス「UVベール プレミアム」。
カメラは旭硝子の日本最大級の工場を映してくれました。創業時から磨き抜かれた「フロート法」という工法で大量生産が行われています。次々に作られるガラスを、とんでもなく巨大な装置で特殊な機能をもったガラスに生まれ変わらせていく工程。とても面白い光景でした。
旭硝子の圧倒的な技術力を支えるのは5000人(連結従業員が51,448人もいます)のガラスのスペシャリストたちと、技術者たちの技能を簡単に探し出せる「スキルマップ」という人材DBシステムだそうです(こうした人材DBシステムはグローバル企業ならPeopleSoftなどで必ず持っていますが、AGCではわざわざ手造りしたのですね)。
AGC技術者のマインドを形作ってきたのは、旭硝子創業者の「易きになじまず難きにつく」という言葉だそうです。それを象徴するように、液晶画面用のガラスはコーニング社が先行して特許を押さえていたのを回避するため、「フロート法+研磨法」に拘って技術開発を進めたそうです。でも1年たっても成果が出ず、その責任者だった石村社長は非常に辛かったようです。でも結局、工場の技術者たちの協力と頑張りで新工法を完成したので、新工場への投資が失敗に終わらずに済んだそうです。
こうした高い技術に挑み続けた技術者の歴史こそが、王者の強さを支えてきたといえるでしょう。