5月8日(木)に放送されたNHKの「超絶 凄ワザ!」は「最強の紙箱を目指せ」(後編)でした。
前編では重さ1トンの荷重に耐える紙箱をめざした対決を段ボールメーカーが制しましたが、後編では箱に詰めた「ワレモノ」を守り切ることができるのかを競いました。さて、キャリア45年の紙箱職人の逆襲はなるのか?興味ある闘いでした。
「ワレモノ」は卵、ワイングラス、酢のボトル、ご飯茶わんでした。それらを詰め合わせる箱は前回と同じもので、使える紙の重さはわずか800グラムです。ワレモノを詰め合わせた箱を落下させるのですが、最初は高さ2mから始まって、最大6mから自然落下させます。下はコンクリート床で堅く、かなりの衝撃です。試しに一般的な紙箱を高さ2mから落とすと、全滅でした。
職人・宇都宮氏のではすぐに設計図を書き始めます。定規と鉛筆そしてカッターを使っての手作業で、下書きはなし。頭の中で描いた立体的な造形を瞬時に平面の展開図に落とし込むのですから、凄い職人技です。切り込みを入れた十二角形の土台で茶碗を浮かせ、衝撃を吸収する。卵は箱に入れ、V字形に傾斜させた壁に引っ掛け、宙に浮かせる事で衝撃から守る。ワイングラスと瓶も入念に包む。どれも経験が生む形状です。それでも2m落下実験では卵が1ケ割れていました。難題ということが伝わってきます。
一方、強化段ボール部隊のほうは、若手からベテランまで男女5人の設計士が各自試作に挑みます。試行錯誤しながらも改善策を話し合い、それぞれの案のよいところを取り入れる。そして綿密な設計力で実現する。こちらは組織力です。しかも「強化段ボール」という強力な武器を持ちます。
対決当日です。通常の規格ではこの程度の箱だと高さ80cmが最高だそうですが、高さ2mから始まり、どちらもクリアー。さすがです。しかしその後、高さ3m時点で職人の紙箱のほうは、瓶の重さで一部破けてしまい、瓶と茶碗がぶれてしまい、1つ卵が割れてしまいました。記録は2mでした。
しかし、強化段ボールのほうはその後も着実にクリアーを続け、5mも突破してしまいました。最後の6mでとうとう卵の白身が箱の下に垂れ下がっているのが外から見えました。落下時の衝撃に卵自身が耐えきれなかったようです。でも記録は5m。とにかく強化段ボールの凄い威力が立証された対決でした。物流革命につながると思います。