3月31日(月)に放送されたNHK クローズアップ現代は『消費税8%を乗り越えるには?』。4月から8%に引き上げられた消費増税の荒波を乗り越えようとする企業の舞台裏に迫るものでした。
17年ぶりの消費税増税が行われる日本。今回の増税は緩やかに回復する日本経済にどのような影響を及ぼすのでしょうか。野村総研の試算では、増税後の4月から6月には、実質のGDPが平均で年率4.5%のマイナスになると予測。景気の落ち込みは避けられないと見ています。日用品だけど必需でない嗜好品(チョコレート、アイス、スパゲッティのソースなど)が最も影響を受けるということでした。
小売りの現場では増税による消費の冷え込みを防ごうと、価格戦略を模索しています。消費者の安値志向が強まると見て、価格据え置きや値下げに踏み切るところが相次いでいます。番組ではハニーズがそうした代表として採り上げられていました。
新聞報道などでは、これまで280円で価格が横並びになっていた牛丼業界の3社の動きが注目されていました。すなわち、(最近の価格競争で利益が減ってしまい)一挙に価格転嫁を進めたい吉野家は白ワインやタマネギの量を増やし、300円に上げました。これを機にシェア獲得につなげたい(懲りない)すき家は、同じ商品で敢えて270円に下げました。松屋はその中間で290円だそうです(なんと中途半端な!)。
http://www.nikkeibp.co.jp/article/column/20140331/390666/
やはり横並びより、こうした考えの違いが価格に現れているほうが、小生は好きです。
そんな中で、セブン&アイ・ホールディングスは、素材や製法にこだわった付加価値の高い自社ブランド商品を大量に投入しました。過去にデフレを引き起こした価格競争からは一線を画す作戦で、今回は臨んでいるのです。これは注目すべき動きです。正直、同社の会長の独善的な発言には反発を覚えることもありますが、こうした「我が道を行く」姿勢には拍手を送りたいと思います。
一方、増税後に販売を取り巻く状況が厳しくなることを見据えて、製品のラインナップを削減して売れ筋商品に集中するなど、高収益体質へと改善を進める会社も出ています。番組ではその代表としてエステーを採り上げていました。従来のラインナップを4割カットということで、相当な覚悟で臨んでいることが伺えます。これもまた正しい方策のはずです。