最近、知り合いの会社に韓国の企業や研究者からのコンタクトが幾つかあり、連携の機会を探したいといったお話が出るようになっています。
その際には、日韓の政治的関係の冷え込みに対し経済界からの連携の努力が欠かせないといったことを伝えられます。でもそれは単なる建前に過ぎず、本当は復活しつつある日本経済の勢いを見て、再び模倣できる要素がないのか、買収または技術獲得できないのか、という意図でアプローチしてきているのではないかと思えます。数年~10年ほど前にも同じようなアプローチを受けて痛い目に遭った企業を見ているので、私は慎重になるようにアドバイスしています。
実は韓国は今、円安ウォン高で従来のような高い輸出の伸びを期待できない上に、深刻な内需不況に入っています。好調な輸出企業は一部の大企業に過ぎず、稼いだカネがほんの一部の人を富ませるだけで国内に循環しないためと考えられます。
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2014/02/26/2014022601330.html
1割の大企業所属者だけが勝ち組となり、それ以外の9割が敗者として苦しむ社会。この傾向は日本経済が不況に沈み韓国経済の調子がよかった時期からずっと続くものですが、この数年ますます酷くなっています。階層分断と社会不安が深刻化しており、非常にぎすぎすした社会に変質しているようです。
http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/100/147636.html
この不安定化する社会に対し、それを解決する気概と実力のない政治権力者が、矛先が自らに向かないよう誤魔化そうとする際に使う手がスケープゴートであることは歴史が教える通りで、往々にして対象は外国人です。韓国では、それが日本です。つまり日本叩きさえしていれば、政治家自身が叩かれる心配がいっときでも薄れるのです。国内不況が深刻化する中、この構図は強まりこそすれ弱まることはありません。そのベースにあるのは、韓国民の心の奥底に日本人を嫌う気持ちが浸透しているという事実です(これは歴史のせいというより教育のせいだと私は思います)。
こんな中、男気を出して日韓連携のためと火中の栗を拾うことはありません。むしろ敬して遠ざかるのが賢明というものではないでしょうか。