1月13日(月)の未来世紀ジパングは「知られざる親日国シリーズ」!今回は、”インド洋の真珠”と呼ばれる国、スリランカ。題して「知られざる親日国スリランカ!経済&観光急成長…その裏には世界マーケットが!」でした。
行ったことはなかったのですが、実はビジネススクール時代の友人(彼は米国に永住することを選びました)がスリランカ出身だったので、親近感はありました。でもこんなに素敵な国だとまでは知りませんでした。
我々より年配の方々には「セイロン」という旧国名で有名ですね。スリランカが世界地図上のどこにあり、紅茶以外に何が主たる産業の国なのか、正確に答えられる日本人は多くはないかも知れません。でも今、そんなスリランカが経済的に急成長し、観光地としても世界から注目を集めているそうです。
スリランカは実は大変な親日国。同国出身の外タレの人が「多分、世界一の親日国だ」と胸を張っていました。そうするとタイ・インドネシア・台湾・トルコ・モンゴル以上だということですから、これはすごいことです。長年、高速道路や国会議事堂を作ったりした日本のODA援助をスリランカの多くの人は知っていて(以前、モンゴルなどについても同様のことを書きましたが、感謝の気持ちを学校やメディアが伝えてくれるということです。中韓とは真逆です)、日本について良いイメージを持ってくれているのですね。嬉しいですし、有難いことです。
元々、スリランカという国は教育水準も高く、真面目で手先が器用な国民性なのですが、内戦で外国企業や観光客が敬遠し、経済的に立ち遅れていました。しかし2009年にその内戦も終わり、状況が一変しました。
東南アジアやインド・バングラデシュの陰に隠れていますが、スリランカには今、続々と外資企業が進出しています(実は中国が一番熱心のようです)。日本企業もここぞとばかり増えているようです。何がいいのか。ズバリ、生真面目な国民性です。南方系には珍しいのですが、日本人の感覚に近いらしいのです。
スリランカに魅力を感じ、随分前から進出している企業として2つの会社が採り上げられていました。陶磁器メーカーのノリタケと、“午後の紅茶”でお馴染みのキリンです。両社とも、豊かな大地でとれる、それぞれ土と茶葉を求めてこの地に来たのですが、スリランカの人達の真面目さと手先の器用さに魅力を感じていると言います。確かに、陶磁器に色つけをする現地の女性職人の手さばきは日本人顔負けでした。
さらにスリランカ人が経営するケーブルメーカーに取材班が行ってみると、そこには日本の工場でよく見かける「5S」と「KAIZEN」の文字。日本で学んだスリランカ人の指導で取り組み始めたらしいのですが、日本人が一人もいない会社にも関わらず、日本企業と同等の高品質を実現できるということです。こうしたJapan Qualityを見事に実現している実力を見込まれて、高級ブランドの製造を担っている会社が多いということも実に驚きです。
また、スリランカの経済成長に伴いスリランカに進出した日本企業(広島に本社を置く造船企業など)は、スリランカで大きなビジネスチャンスをつかんでいました。やはり「日本のモノづくり」を現地の割安なコストで実現できる、と日本から来た担当者が興奮気味に語っていました。
さらに彼らは、「スリランカには希望とさらにその先がある」と口を揃えて言います。それは、スリランカを拠点に広大なインド経済圏を攻めることができるということです。それはちょうどシンガポールを拠点に東南アジア市場を攻めるようなイメージでしょう。沸騰ナビゲーターの後藤康浩氏は「スリランカはインド洋経済圏のビジネスセンターになる」と「未来予測」していました。東南アジアのASEAN(人口6億人)と南アジアのSAARC(人口17億人)を合わせた、そのちょうど中間に位置するのです。
そして実際的な意味合いもあります。インドに駐在することはかなりタフなこと(水が悪い、衛生状態が悪い、人が多く騒音が凄い、犯罪も少なくない、娯楽がない、等々)で、家族持ちはもちろん、若い独身も行きたがらないのです。それに対しスリランカは全く逆で、スリランカ駐在員はかなり恵まれているようです。近隣でありながらこの2国が全く違うのは、ちょうど大陸・中国と島国・日本の違いと同じ関係でしょう(互いに仲が悪いのもよく似ています)。
番組は貴重な情報を伝えてくれました。日本とスリランカの絆であり、(日本がスリランカに経済的に援助する事ばかりではなく)“日本人が知っておくべき、代々伝えるべき恩”がスリランカに対してあったのです。
1951年のサンフランシスコ講和会議において、第二次世界大戦で日本と戦った国から多額の賠償請求や分割統治の案が出されていました。その会議で、当時のセイロン(今のスリランカ)の大蔵大臣だったジャヤワルダナ氏(その後、スリランカの初代大統領になった方)が「憎しみは憎しみによっては消えない。愛によってのみ消える」と演説しました。それを聞いた他の国々も、日本を分割する必要はないとの結論に達したのでした。
もしこの勇気ある演説がなければ、日本も韓国・北朝鮮のようになっていたかも知れないのです。本当に有難いことですし、覚えておいて他の人に伝えたいことです。今後クライアントの海外進出支援でインドへ出張する機会があれば、是非、スリランカに立ち寄りたい、いやできればスリランカを主たる進出ターゲット地にお薦めしたいと思いました。