12月12日(木)放送の「カンブリア宮殿」は「“ノーベル賞”御用達!光の技術を極める超絶企業」と題して、浜松ホトニクスを採り上げた。
ヒッグス粒子の発見を成し遂げたハイテクセンサーや、ニュートリノ観測の決め手となった光電子増倍管を作る浜松ホトニクス。「ノーベル賞学者御用達企業」と呼ばれるゆえんだ。光の粒子・フォトンの可能性にいち早く気づき、世界で何処も真似を出来ない高い技術力を武器に、売上げ1,000億円を稼ぐ、知られざるスーパー企業である。
ヒッグス粒子の発見を陰で支え、その発見に貢献した日本企業「浜松ホトニクス」とはどんな企業なのか?車の自動ブレーキ、血液分析、CTスキャンなどの心臓部には浜松ホトニクスの製品が使われており、そのシェアは圧倒的。つまりこの企業がなければ生まれない製品が幾つもあるということだ。身の回りのあらゆる所で活躍する浜松ホトニクスの「光の技術」とその部品群、その独自技術の数々。同社の技術展には世界じゅうから視察者が相次ぐ。映像で「光電子増倍管」の製造場面を初めて見たが、その作り方は完全に職人技なのには驚いた。
浜松ホトニクスを世界的な地位へと押し上げた晝馬輝夫会長が提唱する企業理念は「人類未知未踏」。 つまり人類がまだ誰も挑んだことのない領域への挑戦だ。ノーベル級の研究にとんでもないコストのかかる試作品をわずかの実験費だけで提供することもよくある。そんな夢の技術への挑戦をする一方、きちんと収益もあげている浜松ホトニクス。国を動かしてナショナルプロジェクトにすることで最後には収益をもたらすパターンだ。例えば、アメリカが国家プロジェクトとして取り組んでいる未来の光技術、「レーザー核融合」に一企業として挑戦しており、毎年10億円の資金を投じて研究開発を行っている。
次の日本を引っ張る「光産業の創出」が浜松ホトニクスの目標だという。そのため、光技術に特化した大学「光産業創成大学院大学」を設立し、そこで研究したシーズを基に、次々に光に関するベンチャー企業を生み出す。現在、40以上のベンチャー企業があり、同社はその集合体のような独特の会社組織形態を持つ。
「幸運の女神に先回りしろ」というのが創業者で前会長・輝夫氏の言葉だという。ひと真似をせず、知的好奇心と探求心を常に維持しながら取り組むという社風が生まれた所以だ。息子の晝馬明(ひるま・あきら)現社長は、父親もよく口にしていた『愉快に仕事をする』を教訓にしているという。浜松ホトニクスは夢の技術への挑戦をする一方、収益も上げており、「財布」と「夢」を両立させているが、その極意は、絶対にひと真似せず、しかも『愉快に仕事をする』ことにあるのだろう。