少し前、農業や水産業と市場を結び付けるための仕組み作りのプロジェクトに参画したことがある。既存勢力の邪魔や市場関係者の慣性がことのほか強いのが日本の実情だ。その際にも気になったのが、規格外の食物に対する取扱いの理不尽さと、その結果捨てられる食品廃棄物の多さだ。
そんな中、WBSの昨日の放送で採り上げられた「もったいナイ魚」の取り組みはとてもいいと思った。先日のイオンなどの小売スーパー側の取り組みと相まって、日本での食品廃棄量が半減することを願いたい。
「大地を守る会」は、自社の飲食店で「もったいナイ魚」を使ったランチ・ディナーの提供を始めるという。「もったいナイ魚」とは、これまで価値がないと思われて捨てられたり、家畜の飼料などにされたりしてきた魚のこと。
「大地を守る会」で扱う「もったいナイ魚」は110種類ほどに増え、売り上げは2010年度に比べおよそ3倍になった。2014年からは野菜や果物でも「もったいない」シリーズの販売を始め、「もったいないシリーズ」の売り上げは現在、1億円を突破しているとのこと。消費者の意識も少しは変わってきているのだと思う。
また通販サイト「KURADASHI.jp」では、鍋のだしなど季節外れの商品や賞味期限の近い食品を最大9割引で販売している。
https://www.kuradashi.jp/
メーカーからこうした商品をまとめて引き受け、値引き販売し。売り上げの一部を環境保護団体などに寄付しているのだ。現在、200以上の企業と取引し、サイトを利用する会員は2万人を超えたとのこと。
「3分の1ルール」などというふざけた習慣が業界にあることも初めて知ったが、それにしても消費者の極端な「新鮮さ」絶対主義を正すことなく、むしろそれに乗ろうとして仕入れ先を叩くことしかやってこなかった小売の罪状は大きい。その結末がこうした格安直販サイトの勃興だ。小売にとっては自業自得といえる事態ではないか。