この夏から秋にかけて、私は複数の長期戦略の策定支援プロジェクトに携わっています。
普段の弊社は新規事業の企画・開発およびその事業戦略策定の支援がメインで、その際の時間軸は通常3~5年程度です。
それに対し、長期戦略の場合には10年程度先まで見込みますので、このVUCA(Volatility=変動性・不安定さ、Uncertainty=不確実性・不確定さ、Complexity=複雑性、Ambiguity=曖昧性・不明確さ)の時代においてはとんでもない先を見る作業になります。当然ながら10年先の事業環境を読み解くことがとても重要になります。
実は先に触れた2つの長期戦略プロジェクトではかなり違うアプローチを採っています。それは2つのプロジェクトの位置づけとスコープ(範囲)が全く異なるからです。
片方は特定事業の長期戦略策定です。クライアント側の事業領域はかなり限られていて、しかも長期的に見た時には事業継続性に疑問なしとはいえない状況ですので、事業領域を長期的に拡げていくことを目指しています。
そのためそのクライアントの顧客産業に詳しいコンサルティング会社と協同して(珍しいやり方なので、いずれ可能な範囲でお伝えします)、顧客産業はどう変わろうとしているのかという環境シナリオを踏まえ、クライアントのどんな強みをベースにどういう展開シナリオで事業拡大していくかを検討しています。
もう一方のプロジェクトでは会社全体の長期での経営戦略を議論するための前提として、事業環境分析を手伝っています。こちらの関係する事業領域はかなり広いものです。
そのため世の中が不可逆的に向かっている潮流はどういうものか(トレンド)、その上でどんな変化要素が事業全般に大きなインパクトを与えそうなのか(ドライバー)を踏まえて、事業環境がどう変わろうとしているかを、幾多の未来予測調査資料を基に整理・分析しています。この分析結果を材料に、会社として取り組むべき課題と方向性を役員に議論していただくというアプローチです。
長期戦略の策定自体はADL時代から何度もやっていますが、同じタイミングで全く違うスコープで長期戦略を考えるというのは私自身にとっても新鮮で、幾つもの発見に満ちています。