金融界に何が起きているのか?

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最近、金融業界では「前代未聞の由々しき事態」が続けざまに起こっています。しかも業界の盟主と呼ばれるような会社において、です。

さる2/6(木)に警視庁が発表した事件は、野村証券の社員が架空の投資話で顧客の女性から1,000万円を騙し取ったというものでした。(既に元社員となっていますが)容疑者は調べに対し「ギャンブルによる多額の借金を抱えていた」「野村証券のブランドを利用し、金をだまし取ろうと思った」などと供述し、容疑を認めているということです。https://news.yahoo.co.jp/articles/33a51eb7f9d619545fdf222fa16f88552b647ba0

これ単独の話なら「悪い奴がいるなぁ」というだけですが、実はこのところ1~2年に一度のペースで野村証券社員の不祥事が世間を騒がしていることに気づいてしまいました。

具体的には以下の通りです(上記の件を除き)。

  • 2018年4月から翌4月にかけて、姫路支店の元社員が架空の投資話で顧客から計1億4,120万円を騙し取った。
  • 21年3月にはトレーダーが国債先物取引で相場操作を行い、金融庁が野村証券に対し課徴金2,176万円を納付命令している。
  • 21年9月から22年4月にかけて元社員が虚偽の運用実績を示して顧客から約9,700万円を騙し取った。
  • 24年11月には広島支店の元社員が顧客の高齢女性に睡眠薬を飲ませて1,787万円を盗み、女性宅に放火。

まぁ出るわ出るわ。普通だったら、こんな危ない社員を色々と抱えている金融会社なんてとっくに倒産しています。まぁ腐っても鯛というところなのでしょうかね。

でも私が若い頃の野村証券なんて、「ヘトヘト証券」と言われながらも稼ぎもいいしプライドも高く、やり手のビジネスマンそのものでしたがね…。何が野村に起きているのでしょう。

それに続くのが金融界の王者、三菱UFJファイナンシャルG(MUFG)です。こちらは個人の犯罪ではなく組織ぐるみの違法行為です。

金融庁がさる6月に同グループ傘下の銀行(三菱UFJ銀行)と証券2社(三菱UFJモルガン・スタンレー証券、モルガン・スタンレーMUFG証券)に対し業務改善命令を出しています。何と2019年から23年にかけて100件以上もの金融商品取引法違反行為が見つかったのです。

具体的には:

  • 三菱UFJ銀行が三菱UFJモルガン・スタンレー証券へ非公開情報を提供
  • 三菱UFJモルガン・スタンレー証券がモルガン・スタンレーMUFG証券へ非公開情報を提供
  • 証券2社が非公開情報を利用して、企業に証券業務の引き受け契約を勧誘
  • 三菱UFJ銀行は不公正取引の防止を図る措置を講じず
  • 三菱UFJ銀行は、三菱UFJモルガン・スタンレー証券が証券業務の幹事を引き受けられるよう取引先に繰り返し要請
  • 三菱UFJ銀行は顧客に対し、融資をする条件として三菱UFJモルガン・スタンレー証券による証券業務の引き受けを増やすよう要請

といったところです。

「なんでダメなの?」と思った方は銀行・証券間のファイアウォール規制という法制度があることを思い出してください。少なくとも現状のルールではこれ全部、違反です。

しかもこの件については顧客企業から「銀行・証券間の情報共有はやめて」と訴えがあったのに止めなかったのですから、相当悪質です。

昭和のバブル時代や平成初期にもこうした不祥事があって、このファイアウォール規制はどんどん厳しくなったのですが、今回の件を見てみるとまるでひと昔前の感覚でビジネスをしているとしか思えません。

野村証券といい、MUFGといい、それぞれの金融業界の盟主なのに、コンプライアンス意識が極めて薄くなってしまっているのかも知れません。金融界に何が起きているのでしょうか。