自民党総裁選が12日告示され、9人が立候補を届け出ています。2008年と12年の5人を大幅に超え、過去最多の立候補者数を記録しました。(政治資金規正法違反事件により)派閥の締め付けが随分となくなったこと、現総理・総裁の岸田氏が出馬しないことで遠慮が不要になったこと、この2点が効きましたね。
私は岸田首相が次期不出馬を表明した時点では6~7名くらいかなと予想していました。林芳正官房長官と加藤勝信・元官房長官、そして上川陽子外相の3人が揃って20人の推薦人を集めることができたのは少し予想外でした。
ここまで候補者が多くなると、討論会や政策論議が盛り上がるでしょう。それ以上にネットでの政策吟味や批判・論評(政策だけじゃなく話し振りや行動力、普段の人となりなども含め)が盛り上がるので、さらに面白くなるのではと期待できます。
投票できるのはあくまで自民党員と自民の国会議員だけですが、いずれも世論に相当左右されることは間違いなく、報道機関や週刊誌がきちんと候補者をフェアに比較する記事・分析を出せるかどうかもウォッチしたいところです。
個人的には、地方創生に力を入れる石破氏(話し方は嫌らしいですが)、中韓に対し毅然とした態度を示せる高市氏、グローバルにおける日本の立ち位置をよく理解している上川氏・林氏あたりを注目しています。
今回の自民総裁選、これだけ多くの候補が出揃ったことで、1回目の投票で過半数を獲得する人が現れる可能性はほとんどないと見込まれます。すると1回目の投票での上位2名による決戦投票で決まるという可能性が非常に高いです。
1回目と2回目の投票数の割り振り方が実は異なります。これが決戦のポイントになります。
1回目は「自民党所属の国会議員各1票の367票」+「党員票の換算367票分」の合計で決まります。後者はドント方式により各候補に配分されます。そして1回目に派閥の締め付けがあるのは茂木派くらいです。つまり国会議員も自由意志で「選挙の顔」となれる人を選びます。
2回目の決選投票では国会議員の各1票は変わらず、367票分。でも党員票は都道府県に1票ずつの47票です。上位2人の党員票を都道府県ごとに比べて、得票が多かった候補が1票を獲得します。そして2回目の決選投票では国会議員票の行方は、派閥の締め付けと、1回目で敗れた候補者が残った2人のうちどちらを選ぶのか、という要素が左右します。
では結果を予想してみましょうか。第一回目の投票は国会議員票と党員票が同じですので、全国的な人気が高く、国会議員が「選挙の顔」として期待する人が上位になりそうです。この2つはそれなりに近い関係です。
まず国民に圧倒的人気の小泉氏が1位でしょう。自民の若手国会議員からしても次の選挙でも自分が当選する確率を上げるためには人気者の小泉氏がベストでしょう。
でも2位が難しいのです。国民の「次の総理として期待」というアンケートに挙がってくるのは石破氏、次いで高市氏あたりだそうです(最近のJNNアンケートを参照)。すると石破氏が2位に滑り込むのでしょうか。
いや、石破氏は自民の国会議員に人気がないので、難しいでしょう。むしろ国会議員票と党員票をバランスよく獲得できそうなのは高市氏ではないでしょうか。
すると決選投票は小泉進次郎氏 vs 高市早苗氏の対決になる可能性が高いと私は予想します。両者とも今は無派閥ですが、小泉氏は元は二階派、高市氏は元は安倍派です。
この2人の対決に関しては、投票の比重の多くを占める国会議員票については、派閥の肩入れ(安倍・麻生・茂木派あたりか)とベテランの反発がやや高市氏有利に働く可能性が高く、小泉氏を高市氏が逆転するのでは、と今のところ予想していますが、さてどうなりますやら。