4月5日放送の「未来シアター」(日テレ系)が採り上げた一人は塩田政利氏。素材の劣化を止める魔法の「液体ガラス」の開発者である。
現代社会を支えるコンクリートは50年程度しか持たない。かつてコンクリート事業の会社に勤めていた塩田氏も、その意外に短い寿命に驚いた。世界を巡って方法を模索。思いついた「液体ガラスによるコーティング」をメーカーに掛け合うが、相手にしてもらえない。ならば自分で作ろうと考えたという。そして10年かけてついに開発し、ニッコーという会社を設立。
普通のコンクリートはコインで削れてしまうが、この液体ガラスを塗ると浸透・乾燥して膜となり、ほぼ傷がつかないほど強度が増す。和紙などに塗布した場合、ガラスならではの耐水性が加わる。ガラスは石英などの鉱物からなる固体であり、液体であるためには1400度以上もの高温を必要とするはずだが、特殊な技術で常温での液体化に成功したのである。実に不思議だ。その効果が認められ注文が殺到し、今や様々な公共事業で使われるようになった。
コンクリートの次は、木材の耐久性を上げることに塩田氏は没頭した。研究することさらに3年、今度は木材を強くするガラスコーティング技術が完成する。耐火性抜群なのである。番組で実証したのは、ガラスコーティングされた塀が何度ガソリンをかけても火が消えてしまう様子である。煤けた表面を削れば、元の姿のまま。この技術により木造建築すら永遠のものにできるかも知れない。
さらに木材の、ささくれやトゲが出る欠点もガラスコーティングによって解決できる。観光名所や幼稚園など、子供が駆け回る場所では安心材料だろう。
この技術はきっと今後の公共インフラにとって必須になろう。50年ごとにコンクリート設備を作り直すなんていうのは、冷静に考えてみるととんでもなく非生産的である。多少コストが上乗せされようと、ガラスコーティングは長い目で見れば圧倒的にコスト抑制になる。ましてや木材建設物が火事の心配から逃れることができるというのは素晴らしい。日本だけでなく、これからインフラ建設が膨れ上がる世界じゅうで求められるのは間違いない。ニッポンの技術が世界を救う!と誇らしい限りである。