福島の農地をよみがえらせる「人工ゼオライト+磁性体」

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6月9日放送の「夢の扉+」は「福島の農地をよみがえらせる!世界初の除染技術 “廃棄物+磁力”で放射性物質を除去する!」と題して、福島で“農地の除染”に関し画期的な技術開発に成功した、愛媛大学教授の逸見(へんみ)彰男氏を採り上げた。

逸見教授は土の研究一筋、40年。火山灰土壌で農作物が育ちにくいのはなぜか、という謎に挑んで10年。さらに10年をかけて、土壌改良材「人工ゼオライト」を“廃棄物”の石炭灰から生み出した。『自らの研究を世の中に役立てたい』という強い信念をもって、研究を続けた人物である。

福島での土壌の除染の中でも、最も難しいとされるのが“農地の除染”である。現在広く行なわれている、表面をはぎ取る除染方法や、深い部分の土と入れ替える方法では、肥よくな土を失ってしまう。そこで注目されるのが、放射性セシウムだけをピンポイントで狙って吸着できるゼオライト(火山灰が固まって生成された鉱物)。専門家である逸見教授の技術に一気に関心が高まった。

問題はその回収方法だった。土の中のゼオライトだけを回収する手段は?そこで知恵を貸してくれたのが「磁力のスペシャリスト」、同じ愛媛大学の工学部准教授、青野弘通氏だった。愛媛の研究所で特殊な合成技術によりゼオライトに磁性体をある割合で混ぜ、それを福島の田んぼで実証実験を繰り返すこと7回。

およそ1700ベクレルという高い水準の汚染土の田んぼが、最終的には121ベクレルまで下がった。ついに彼らは、肥よくな土を残したまま放射性セシウムだけを90%以上除去できるという、画期的な技術開発に成功したのである。

さらに逸見教授はタイに飛び、コメ生産の大手、トンファ・ライスカンパニーの社長と交渉し、捨てられていたもみ殻灰を人口ゼオライトの材料として使い、人口ゼオライトを大量生産してくれるように合意した。この技術が福島の農業を復活させることを願いたい。