町工場の技術を活かす「ニッポンの逆襲」その2

ビジネスモデル

同様の「町工場の技術を活かして消費者向け製品を開発・製造する」というテーマで観たのは、やはりTV東京系のワールド・ビジネス・サテライト、「町工場発 ものづくり革命」であった。
http://www.tv-tokyo.co.jp/mv/wbs/feature/post_32035

紹介されていたのは、金型製造のニットー、家電向けプリント基盤の設計・製造会社のケイ・ピー・ディ、医療機器業界など向けに部品の試作を手がけるジェイ・エム・シ-の例。中小企業向けコンサルティング会社のエンモノが仲介し、消費者向け製品を開発する試みが続けられている。

ニットーはクラウドファンディングの仕組みを活用し、開発資金を調達し、ヌンチャクの用に振り回せるiPhone用のカバー「トリック・カバー」を発売。出資者からの仕様要望が一種のマーケティングにもなっているという。ジェイ・エム・シ-は実験用の臓器シミュレーターを発売した。新規の引き合いはほとんどネットで行っており、「見積は1時間以内」と非常に効率的な対応だ。

注目したいのは、ニットーが使っていたクラウドファンディングによる資金調達、ジェイ・エム・シ-が活用していた3Dプリンターによる試作、そしてネット活用によるマーケティングと引き合い対応、の3つを組み合わせることのポテンシャルである。

技術力はあるがマーケティング力(商品企画、宣伝とも)に劣ってきたニッポンの中小企業が活躍できる素地が広がっているのである。従来なら中小メーカーには高すぎたハードルを超える手段が色々と出てきており、知恵さえあればかなりのことができるようになっている。今回紹介されたようなスマホ関連商品などは、「生鮮商品」なみの流行に対応できないといけないので、大企業よりむしろ中小企業向きだ。大いに期待したい。

この動きはChris Anderson氏が新著「MAKERS」で紹介しているように、米国では「パーソナルファブリケーション」といった呼び方で注目されているようである。以前この欄で紹介した個人家電メーカーがどんどん立ち上がるイメージだ。
http://landship.sub.jp/stocktaking/archives/003471.html

ちなみに米国の場合、特殊ニーズもある市場であり、なんとプラスティック製の銃のパーツが3Dプリンターによる試作を経て、ネットで売られているのが米国の報道番組で紹介されていた。なぜプラスティックなのか、お分かりだろうか。ばらした状態で持ち運べば飛行場などの危険物検知センサーを突破できる可能性が指摘されている。何と怖い話か…。