すっかり忘年会シーズンですね。そして昨今の飲食店に関する世の中の話題の一つは“No Show”=無断キャンセルだそうです。
現実には当日キャンセルも飲食店にとってはかなりの痛手ですが、少なくとも当日開店時に分かっていれば、当日の来客をフルに受け入れることができるだけマシです。
しかし無断キャンセルはさらに悪質です。例えば当日7~9時の予約がある客が全然連絡がないまま現れずに結局無断キャンセルする場合は、店としては予約席の分だけフリの客を断ることになりますから、材料費などの無駄に加え、2重の痛手な訳です。
それだけ飲食店にとっては憎くむべき行為であり、社会人として恥ずべき行為でありながら、消費者側の罪悪感はそれほど大きくないようです。
テレビの報道番組のインタビューワーが「常習犯」の人たち(若者が多いみたいです)に、「なぜ無断キャンセルするのか?」と尋ねても「他の予約と重なって」などが多く、幾つか予約の取りづらい店を複数予約することが習慣化していることが伺えます。
どうやらスマホでネット予約できるようになったことが、若い人たちにこの習慣を確立させたようです(我々の世代だと、そもそも複数の店を予約しません)。
「じゃあなぜ要らなくなった店に連絡しないのですか?」と尋ねても「忘れていた」とか「面倒だから」とかいうコメントで、まったく罪の意識がないのには驚かされます。
欧米の都会に住む人たちも複数の予約を入れる習慣がありますが、目当ての店で予約が取れれば折り返しキャンセルの連絡を入れるのがマナーとして確立しています。でも日本の若い人たちにはマナーを教えてもらう機会がなかったようです(でも教えられるまでもなく、自分の頭でちょっと考えれば気づくはずですが…)。
ではそうしたマナー感覚に欠けた消費者が増えた状況下、飲食店はどうしたらいいのでしょう。大きくは3つあります。
一つは筋を通す方法です。あらかじめホームページや予約サイトにおいて「無断キャンセルの場合には基本コースをフル料金頂戴します」といった具合に断りを入れておいて(電話予約の場合は口頭でそう宣言しておき)、もし無断キャンセルが発生したら本当に料金を徴収するのです。ただし教えられた連絡先がでたらめだったり、料金を要求しても無視される恐れは残ります。
2つ目は予約者の正しい電話番号を必ず尋ねるようにし、確認の電話を前々日辺りに店側から架けることです。これにより予約した当人にプレッシャーも与えられるし、忘れていた場合も思い出させることができます。小さな店ならこれが一番有効です。ただし手間が掛かりますので、予約が一杯あるような大きな店では結構な作業になります。
3つ目は、予約はすべてネットで受け(つまり電話予約は受けないということです)、クレジットカード番号を登録してもらうか(無断キャンセルの場合にはこの番号に料金チャージする)、事前予約時に一部の料金を徴収する方式を執ることです。ただしこれは自社でシステム化するか、その機能がシステム化された予約サービスに加入する必要があります。
最近増えているのは3番目の方法(しかもシステム化された予約サービスに加入)のようですが、当然、その分だけ手数料を外部に支払うことになります。つまりある程度粗利も確保できる上に、売上も小さくない店でないと、ペイしません。
本当は良心的価格の小さな、でも美味しくてユニークな飲食店がもっと地域に増えて欲しいのが大半の消費者の願いだと思うのですが、心無い一部の消費者のせいで、そうした店が繁栄しづらい世の中になっているようです。残念。