9月16日(月)の未来世紀ジパングは「ニッポン再発見!お土産に商機あり!」と題し、日本人が気づいていない日本製品の魅力に迫る、面白いものだった。
今年上半期に日本を訪れた外国人は約500万人。円安の影響もあって、過去最高となる勢いだ。「Youは何しにニッポンへ?」という番組が人気なように、今回の未来世紀ジパングは、外国人が買うお土産に注目した。2020年の東京オリンピック開催に向け、日本に対する海外からの関心は高まる。日本が持っている様々な技術や商品が、海外へ伝わりやすくなるチャンスでもあるのだ。そうした観点で、どんな商品が外国人にウケるのかを探った。
そのトップバッターは、温水洗浄便座。今では日本の70パーセント以上の世帯にあるという。1980年の発売以来、30年の間に様々な進化を遂げた温水洗浄便座だが、外国では未だめずらしい。欧米では高級ホテルと日本びいきの金持ちくらい。最近は中国やタイの富裕層に人気である。今回の番組では、驚くことに成田空港や秋葉原で温水洗浄便座をお土産として買って帰る中国人や東南アジアの人達が登場した。
温水洗浄便座の先駆け、TOTOがいま英国に販売拠点を構え、欧州市場の攻略を始めようとしている(今頃の感があるが)。しかし日本で常識となった商品でも、外国での市場開拓は並大抵ではない。「トイレ」「お尻」の事なので、欧州では外で口にすること自体がエチケット違反の扱いなのである(イスラムの国々に対し「因襲的」だとか言っている自分たちこそ…)。普通の宣伝が難しいため、日本人責任者が考えた戦略は、ホテルや日本料理店に温水洗浄便座を置いてもらい、「口コミ」を狙うことだ。一度使ってもらえば、その良さをわかってもらえるし、使った事のある人が口コミで宣伝してくれることを期待しているのだ。まぁ気が長いといえば長い。
特に笑えたのは、日本料理店に設置された温水洗浄便座の使い心地を聞いたそばから興味を持って、試そうとする英国人客に番組スタッフが撮影用カメラを渡し、温水洗浄使用中の自分の表情を映させたこと。放送史上でも前代未聞の画像であった。
2つめは和包丁。調理器具の街、東京の合羽橋にある包丁の専門店では、実に多くの外国人を見かける。スペイン、フランス、カナダなど色々な国の人達がいる。和包丁を買って帰る外国人が増えているのだ。700年以上もの歴史がある、熊本県のある小さな包丁製造直売所、いまや注文の3分の1は外国からだという。
洋包丁に比べて、切れ味鋭い和包丁に魅せられ、ついには自分の国で和包丁の専門店を開いてしまったカナダ人の男性が登場した。日本食ブームも伴って、カナダでもサーモンなどを生で食べる人が増えているのだが、洋包丁では身がグズグズに。それが和包丁だと、実にキレイに魚が切れる(当たり前だが)。和包丁の魅力を拡げようとする店主の奮闘が微笑ましかった。
番組を観ている小生の傍らでカミさんがつぶやいた。「でも定期的に研ぐなどの手入れをちゃんとしないと、いくら和包丁だって切れ味はどんどん落ちるわよ。大丈夫かしら、この人たち。ちゃんと理解しているのかしら」と。うん、さすがにうちのカミさん、鋭いところを突きますね。