海外からの起業家を呼ぶには日本・東京はあまりに準備不足

グローバル

安倍政権は海外からの投資拡大を成長戦略の主な柱に掲げているが、外国人が日本で事業を始めるには大変な苦労がある。10月16日のワールドビジネスサテライトは、そんなニッポンの壁を採り上げていた。

日本で医療機器輸入を手がけるロシア人のニコライ氏。しかしオフィスを立ち上げるにも住居を確保するにも保証人がいる。ビジネスについても印鑑など日本独特の慣習・制度が壁になり日本法人立ち上げに苦労した結果、去年ようやく、日本貿易振興機構(ジェトロ)が提供する外国人起業家向けオフィスを利用して事業を立ち上げた。これからビジネスを展開する日本の悪口は言いたくないのだろうが、少々呆れかえった様子だ。

例えば会社設立には、日本(114位)では23日掛るが(小生も何度か体験した)、ルワンダ(8位)では15分の手続き、3日でできるという。何という差か。そして日本の官僚が進歩しないこと、情けない。森記念財団の都市戦略研究所が16日発表した「世界の都市総合力ランキング」では、東京は6年連続で4位。1位はロンドン、2位はニューヨーク、3位はパリというのが定位置になりつつある。

東京はアジアではトップだが、シンガポールやソウルが東京との差を急速に詰めている。はっきりいって、覚悟が違うので、逆転されるのは時間の問題である。彼らは単なるオフィス提供や英語での案内といったレベルはとっくに卒業している。先輩企業家からのアドバイスを受ける体制や、生活全般の相談にも政府がワンストップで応じる体制など、仕組みやプロセスごと変えている。ソウルでは海外起業家の家族の離婚相談コーナー(!)まで用意している。

この話とは別に、「起業しやすい都市」トップ20というのが発表されている。1位はシリコンヴァレーで、20位までに東京の名はない。Startup Genome社とTelefonica Digital社の協力編集によるこのレポートは、世界中の50,000人を超える起業家の協力を得て作成されたもの。

重視された指標とは、人口規模との比較による地域内の起業家の活動レベル、リスクキャピタルの積極性、起業家が持つ先見性のレベル、新しい技術やプロセスの導入スピード、支援ネットワークの質、および市場に存在する人材だ。これは間違いなくシリコンヴァレーがトップになるはずだ。これらのことを考えると、実質的な内容について日本そして東京は何も改善されていないに等しい。まだまだ海外からの投資を切望していないのが丸分かりである。