春秋の会長は日本に憧れる中国人の本音を掴む達人

グローバル

11月7日(金)に放映された「島耕作のアジア立志伝」(NHK)は「“中国人の本音”をつかめ」と題し、春秋集団の会長・王正華氏を採り上げました。

春秋集団は中国最大手の旅行会社で、日本でいえばHISみたいなものです。王正華氏(70)は、個人の自由移動が難しかった30年前、個人旅行の時代の到来を予見して同社を創業しました。彼自身は、元々エリート役人だったそうで、その炯眼には感心するばかりです。

その時にはまだ中国人が国内といえども自由に移動できず、航空機搭乗のためにいちいち役所に届け出を出していたそうです。同社がそうした手続きをまとめて行うことで、中国で初めてパッケージ旅行を実現させたのです。その後も同社は続々と好奇心を刺激する旅行商品を作り続け、中国での国内旅行そして中国から(アウトバウンド)の海外旅行市場を制覇したのです。

庶民が次に目指すのは”日本観光”と見て、2010年から茨城・高松・佐賀・大阪へ次々と航空路線を開設。一挙に日本向けアウトバウンド事業を伸ばしています。

反日暴動が起きた際には日本への旅行者が急減したため、往復の航空料金を実質的にゼロにするキャンパーンを実施。しかし「売国奴」呼ばわりする書き込みが同社のHPになされ、さらには会社への投石さえあったそうで、キャンパーンは取り止めになったそうです。

それでも王氏は手を緩めることはありませんでした。日本の地方空港への路線新設や増設を進めているのです。昨今の日中関係悪化にも関わらず、ますます中国人の間で日本への憧れが高まると読んでいるのです。そして実際、中国人の日本旅行者は再び急増しています。王氏は中国人の本音をつかむ達人です。