この週末、米国留学時(もう30年ほど前ですが米国人とハウスシェアしていました)以来の付き合いで米国務省勤務の友人夫婦が再び日本に転勤してきたので、家族で一緒に食事してきました。
友人は国務省勤務で日本経済分析担当でもあり、以前にも何度か日本に住んでいました。加えて奥さんも日本人なので、日本の政治・経済・社会について日本人以上に詳しい、「ちょっと変な外国人」の一人です。もちろん米国政府の一員なので、米国の内情についても一流のインテリジェンス(情報知)を持った人間です。
彼らはこのタイミングで来日したため、話題はおのずと日米の選挙見通しと選挙事情に集まりました。
まず日本の総裁選見通しとその後の選挙の可能性については私から伝えましたが、彼が元々得ていた情報とも一致するようでした。米国国務省は既に菅氏の人となりを分析しているようです。
でも自民総裁・総理の3候補が2日ほど前に出席したテレビ番組で菅氏だけが「将来的な消費税増税の可能性」に〇を挙げたことについて、私が「政治家としての腹の座りようを世間に示そうとした」旨を解説した際には、さすがにその番組は観ていなかったとのことで興味深そうでした。
関連する話題として、最近各地で上映が拡大している映画「なぜ君は総理大臣になれないのか」を彼の奥さん(彼女の友人の旦那さんが監督だとのこと!)が見て興味を持っていたので、日本独自の事情(例えば、一家・親戚総出での選挙活動や、同じ国会議員でありながら小選挙区当選と比例代表での復活当選では「格」が違うことの意味付けなど)も話題になりました。何せ、選挙はお国柄が出ますからね。
一方、11月に迫った米国での大統領選についての彼の見立ては、「トランプ再選は難しい」というものでした。民主党に比べて共和党のほうが選挙戦略をしっかりと立ててきちんと戦略的に動くという私の評価には同意するものの、今回はあまりにトランプの評判が悪すぎる(要はトランプの悪い性格や行動のいい加減な側面が無党派層に浸透してきた)という分析です。確かに元の身内からの暴露本がいて出版されましたからね。
友人は4年前の選挙時にはノースキャロライナ州(スイングステートの一つ)に経済講演に行ったそうですが、その際にクリントン候補の評判が悪く、トランプ候補の評価が高かったことに強い印象を持ったそうです。今回は(同じ場所を訪れた訳ではないですが)世評はその逆ということです。
平凡な政治家であるジョー・バイデンには(ヒラリー・クリントンのような)「嫌われ要素」が少ないことが、却って今回は好都合だということのようです。
そしてもし来年以降にバイデン政権に切り替わると、米国の経済・外交方針のうち何が変わり何が変わらないかが重要です。私は「米国はTPPに加入する交渉を始める」が前者で、「中国とのデカップリングは、速度はマイルドになるが方向性は変わらない」が後者だとする見方を伝えました。友人は同じ意見だと頷きました。
さて、彼は12月から忙しくなりそうです。