日本マクドナルドHDの2014年1~9月期連結決算は 、売上高が前年同期比12.7%減の1722億円、税引き後利益は75億円の赤字(前年 同期は63億円の黒字)でした。営業利益でいうと前期比97.8%減の2億3800万円でした。最終赤字は11年ぶりだそうです。
チキンナゲット用に仕入れていた中国産鶏肉問題が影響して来店客が減り、「7〜9月期で200億〜250億円の売り上げが減少した」という説明がなされています。しかし来店客数の減少はその前から続いており、「チキンショック」はそのペースに拍車をかけたに過ぎないことが判明しています。つまり顧客にとって、日本マクドナルドの魅力がなくなり、足が遠のいたということです。そしてそれは現CEOのカサノバ社長ではなく、ベネッセに移籍した前CEOの原田泳幸氏に全責任があるといえます。
1月5日に放送されたWBS(TV東京系)ではその辺りが垣間見えました。オーナー会の会長や数人のオーナーが登場し、原田時代に変質した日本マクドナルドの経営について大いに不満をぶつけていました。とある有力オーナーは「原田前会長は、私の店に一度もきたことがなかった」と語っていました。現場も知らず、机上だけで戦略を練り、それを冷徹に実行したわけです。
その結果が「100円マック」で商品価値を下げ、「60秒サービスキャンペーン」で店頭オペレーションを混乱させ、あげくはカウンターからのメニュー撤去で却って時間が掛るようになっています。いずれも短期的にはキャンペーンで評判を取り、効率を上げたりして業績が上げる目論みだったのでしょうが、長い目で見て客離れにつながっているのです。
業績悪化に伴い、現実にオーナー離れが加速化しているようです。衝撃的だったのは、34店舗も持っている最大オーナーが本部に愛想をつかし、全店舗を売却したという話でした。直営店をFCに切り替えてきた同社ではFCオーナー離れは屋台骨を揺るがす話です。
日経ビジネスのシリーズ特集で得々と経営戦略論を語っていた原田氏。強烈なリーダーシップで経営改革を断行、それまで7年間も減少し続けていた日本マクドナルドの業績を11年12月期まで9期連続でV字回復させた現代のカリスマ経営者。その実態は、最もやってはいけない、現場力をやせ細らせただけの短期志向の経営者だったわけです。