10月29日(火)に放送されたBS11のINsideOUTのテーマは「クール・ジャパン 日本アニメは強いのか弱いのか?」。ゲストは「アニメ!アニメ!」というウェブサイトの編集長、数土直志氏だった。
最初に紹介されたのは10月22日から24日に東京都内で開催された、映画・テレビ番組などの国際見本市TIFFCOMの様子。この見本市は日本のさまざまな映画やテレビ番組などを海外市場に販売する大きなチャンスで、300を超える企業が出展した。
日本の作品で人気が高いのは何といってもアニメだ。海外でも根強いファンを持ち、世界市場を席巻しているかのように思う人が多いが、実態はかなり違う。圧倒的に市場規模が大きくしかもどんどん成長しているキッズアニメは巨人・ディズニーが君臨しており、日本もポケモンやセーラームーンなどの人気キャラクターがあるが、中韓などアジアの新興国に追い上げられているのが実態である。他のオタク向けや大人向け作品では圧倒的に日本が強い(日本にしかまとまった市場がないため)が、一つひとつの規模が極端に小さく、まとめてもキッズアニメより段違いに小さいらしい。
少子高齢化と人口縮小が続く日本市場に依存していては未来がないことは明確。海外市場に打って出る戦略を業界として描かねばいけないはずだが、アニメ制作会社や出版社、いやテレビ会社だって世界規模からすれば中小企業レベルである。単独ではどうしようもないのに、「一国一城の主」の気分をいつまでも引きずっているようだ。版元主導で、作品ごとに流通方法を現地企業と個別に交渉する、そんなゲリラ戦では主戦場のキッズアニメではディズニーに対抗することは百年掛ってもできない。
(番組では全く具体的なことに言及していなかったが)やるべきことは明確だ。まずはDNPか凸版辺りの主導でアニメ制作・出版会社の資本を増強すること、アニメ制作工程にIT投資をして高収益に変えること、それで優秀な人材を確保すること、その上で、(やはりDNPか凸版辺りが音頭を取って)共同でアジアでの流通配給網を整備することが必要だろう。