日本の水産業を成長産業に

ビジネスモデル

1月26日(土)のBS11チャンネル「未来ビジョン 元気出せ!ニッポン!」の「日本の水産業を成長産業に」を録画で観た。ゲストは宮城大学副学長の大泉一貫氏。「世界の英知を復興へプロジェクト」のリーダーでもある。

大泉氏が目指すのは、水産業を儲かる産業にすること、それにより若者が水産業を目指すようになることである。そのためにも漁業権の問題を解決し、漁業のやり方を変えるべきだ、徹底して合理化・機械化することで輸出産業にもなれる、豊かになれる、と主張している。その具体例として、漁業先進国・ノルウェーの視察を主導した際の映像が流された。

その様子は全く日本の風景とは異なる。日本だったら漁から帰った漁船が水揚げした魚は人手で市場に集められ、そこでセリに掛けられ、セリ落とした卸業者が引き取っていく。そして彼らが水産加工場へと改めて輸送する。その度に人手で魚を運ぶ、人海戦術そのものである。

ところがノルウェーでは全く違う。漁船は帰る途中で無線により、インターネット上での「洋上オークション」の結果、どの加工業者が最高値でセリ落としたかを知り、その加工場のある港に直接運ぶ。船からは自動ポンプで魚を吸い上げ、短時間で加工場の所定の場所に送り込まれ、どんどん加工される。完全に「近代工場」の世界である。

養殖への取り組みも進んでおり、世界食料危機時代にも備えているという。両国は船の大きさも快適さ(部屋の広さ、綺麗さ、料理や娯楽等々)も格段に違い、観ていて恥ずかしいくらいの、近代産業と封建時代の家内工芸とでもいえる格差がある。

この差は企業と個人の差でもある。漁業権という既得権に守られている既存漁民のエゴにより産業の近代化が阻まれてきた結果でもある。その枠組みを変えることさえ許されれば、やり方を工夫することは日本人の得意とするところである。宮城県の「漁業特区」の試みが、この衰退産業体質に風穴を開けてくれるのを期待したい。