弊社のクライアントの圧倒的多数派は大手企業なので、ウチは他の大手コンサル会社と同じプロジェクトで一緒に仕事をするケースが時々あります(当然、大きめのプロジェクトの話ですし、弊社だけでは大きなプロジェクトを回せないからです)。
そうした際には大抵私がクライアントの代理として、大手コンサル会社の提案書を評価したり、方向性を修正してもらうようお願いしたりと、いわゆる仕切り役を仰せつかることもごく普通です(何せベテランですから)。
そして私が独立した頃(約11年前)よりもさらに以前の時代に比べて、この頃は新興のコンサル会社をクライアントが利用されることもかなり増えてきました。つまり新興のコンサル会社と一緒に仕事をするケースが増えているのです。
当然、彼ら新興コンサル会社のメンバーって、ITなどの新しい技術に強い若手が中心メンバーになっていることが多いので、コンサルとしての実務経験は少ないこともごく普通です。だからプロジェクト運営やドキュメントの作り方や統一性、さらにはルール設定まで、一から教えないと使い物にならないこともよくあります。
私がクライアントから本来期待されているのはプロジェクトそのものの方向性を仕切ることなのですが、プロジェクト運営上そうした細かいことまで仕切らないといけないというのも現実です(さもないと統一性のない成果物やファイルが続出して管理しにくくなったり、ルール無視の行動に走る馬鹿者が現れることで混乱したりして、プロジェクト効率を下げます)。
とはいえ大きなプロジェクトであれば、(仮に新興といえども)大抵の大手コンサル会社のプロジェクトチームにはマネジメントを兼ねるシニアメンバー(シニアマネージャー、ディレクターなどという肩書の人)が含まれます。
本来はそうした人たちが、自社のメンバーに対して、プロジェクトでの振舞い方や、ルールなどの約束事を守るようにという躾けを教え、そしてプレッシャーに押しつぶされないように精神的なケアなどもするはずなのです。
でも最近プロジェクトで一緒になった複数の新興コンサル会社では、そうした基本を教えないままプロジェクトにアサインし、運営過程においてもプロジェクトが設定した約束事を途中参加のメンバーに伝えず、きちんとサポートもしない、挙句はプロジェクトに入ったばかりのコンサルが(会社自体を)すぐ辞めてしまう、といったことが続きました。
当然、私のほうから(クライアントの責任者と共に)当該の新興コンサル会社のシニアメンバーおよび幹部に対し「こんなことでは困る」と苦情と善処の申し入れを行うのですが、いずれも一度では全部は直らないので呆れてしまいます。
はっきり言ってプロジェクトチームに単価の高いシニアメンバーを入れているのは(実務としては大して期待していないので)そうしたマネジメント的な役割を期待しているのです。
どうも新興コンサル会社レベルになると会社としての人材教育自体もしっかりしておらず、員数を確保して目先を凌げばいいという態度も幹部において見受けられます。
そして残念なことに、まともな戦略ファームや大手会計系ファームのようなところできちんとしたマネジメントスキルを鍛えられることなく幹部になってしまうことがごく普通にあるようです。
だからメンバーが会社にもプロジェクトにも定着せず、結果としてクライアントに迷惑を掛けてしまうことも往々にして生じるのでしょう。現場の問題というより、幹部の姿勢と資質の問題ですね。
こういった側面でもコンサル会社の選択軸になるということを、クライアントにも理解して欲しいものです。