常識が通用しない「狂った会社」

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カッと照り付ける殺人的日差しと、むっとくる熱風。首都圏でも「熱中症にならないのがおかしい」くらいの暑さが続いています。その日本の気候と同様、「この会社、狂っている」と思わせる事案の暴露報道が続いています。そう、ビッグモーターです。

お客さんから車検や修理のために預かったクルマにわざと傷をつけたり不要な板金塗装を施したりして、保険会社への請求料金を高くすることを組織ぐるみで長年実施…。道路から展示車がよく見えないのを嫌がったのか、勝手に街路樹を伐採したり除草剤を撒いて枯らしたり…。

こうした外部犯罪行為だけでも「ありえない…」と絶句させられるのに、社内のブラック企業振りは「今どきこんな会社あるの?」と唖然とさせるエピソードが満載です。

いわく、「採用時の約束が全部でたらめ」「無茶なノルマを達成できない店長はノルマを達成した店長に現金を支払わされる」「文句を言うと不便な地に転勤させられる」「車検工場の責任者クラスは不正を拒否すると降格させられる」「あまりに理不尽なので辞めたいといっても『自己都合』しか選べない」…云々。

こんな人手不足のご時世に、なぜこんな理不尽な会社に見切りをつけて辞める社員が続出しなかったのか、むしろそこが不可思議です。対外的な犯罪行為は一部の人しか関与していなくとも、社内で噂になっていなかったとは考えにくいです。しかも社内でのブラック企業そのものの慣行は多くの社員が目の当たりにしていたはずです。

それとも大半の社員が既に「洗脳」させられていたため、「これが世の中でも普通だ」とでもご認識していたのでしょうか。家族や友人に相談すればきっと「あんた、そんな会社、今すぐに辞めなさいよ」と勧められたと思うのですが…。

マスコミの追求に嫌々ながら遂に謝罪会見を開いても、一番の悪玉と指摘されている前副社長(創業者の息子の兼重宏一氏)は雲隠れのままです。創業者たる兼重宏行・前社長は、謝罪はしましたが、「経営陣はまったく知らなかった」と白々しい言い逃れと、(靴下に入れたゴルフボールでクルマを傷付けたことを)「ゴルフを愛する人への冒涜だ」とピント外れで顧客無視の寝言を口走る始末。

兼重親子は社長・副社長の座からは降りましたが、要は自ら火の粉を被る度合いを小さくしようとしているだけで、今後はオーナーの立場から会社支配を続けようとしているのは変わりません。でもここまで酷い実態が世間に知られてしまった今、この非上場会社の価値はボロ布同然です。

だってこんな会社からクルマを買いたいと思う人はいないでしょうし、既に買った人でも車検や修理を依頼する気にはならないでしょう。相当の期間、キャッシュアウトが続き、そのままでは倒産の危機を迎えるでしょう。債権者である金融機関がどういった対処をするかです。

兼重オーナーら(またはその株式をうっかり引き取ってしまった次のオーナーまたは金融機関)は多分、ほとぼりが冷める頃に、社名を変えて生き延びさせようとするでしょうね(どこかの宗教団体のよう…)。世間が忘れてしまうことを期待して。さてどうなりますやら。

ちなみに私はたまたまこのタイミングで新車(でよかった…)を買った際に、ディーラーの辣腕営業員から驚きの中古車&損保業界の「あるある話」を聞かされ、ちょっとした混乱と目まいを覚えました(不動産業界と似て「何と古い体質か」と…)。

でも考えてみれば、平成不況のさなかには、ビッグモーターのような酷い話を色々と聴きました。あの時代の日本は、結構多くの会社が狂っていたなぁと思います。