小型の無人飛行機・ヘリコプターは実用期を迎えつつある

ビジネスモデル

小生のお気に入りの番組の一つが、Eテレの「サイエンスZERO」です。2014年3月30日の放送は「大空を切り開け! 無人飛行機 開発最前線」。小型で高性能の無人飛行機が続々と開発されて役に立ちつつある様子が報告されていました。

飛行機の無線操縦は機体が遠くに行くと極めて難しくなります。それに対し今回紹介されたのは、あらかじめ目的地や対象をプログラムしておくと、自動でそこに飛行する(しかも目的を終えると戻ってくる)ものです。原発事故現場や災害現場など、人が容易に近づけない災害現場にも、無人機なら近づいていって精密な写真を撮る事ができます。

番組では、JAXAとJAEAの共同開発の無人飛行機をはじめ、放射線量の測定を行なう飛行機、建屋内の探査を行なうマルチコプターなどを紹介してくれました。調査区域をくまなく網羅します(無人で自動なので「飽きる」ことがありません)。更に飛行高度もコンピューターで自動制御されます。これまで測定を行ってきた有人ヘリコプターの飛行高度は300m。航空法によってそれ以上低くは飛べませんでした。一方、無人飛行機には航空法の制限がないため、半分の高度150mに設定しました。地上から近い分、より精密な計測ができ、たとえば放射線量の違いを細かく場所ごとに見分ける事ができるのです。その精度はこれまでの4倍とのことです。

また、自律飛行の経路を解析したところ、風にあおられてもほとんどブレなかったという利点も分かったのです。滑走路なしでトラックの上から離陸する飛行機もあります(これ、災害現場では意外と役立ち要素です)。旅客機が着陸する時の進入角度は3度、それに対し番組が紹介した無人飛行機は25度の急角度で着陸し、滑走路がなくても広場があれば着陸できるようになっていました。

建屋内の探査を行なうマルチコプターについては、ヘリコプターが建屋内部で障害物とぶつからない技術を開発したとのことです。ヘリコプターに取り付けられた装置でレーザーを飛ばして障害物と自分との距離を正確に測定、その形を立体的に捉えるものです。「3次元立体地図」と呼ぶそうですが、真っ暗闇でも飛べるって事ですから、これは応用が利きそうです。

セコムが利用しようとしている監視用は、泥棒などが侵入したら急遽現場に派遣され、被害者家屋から出てくる不審者の画像を捉え、追跡するものです。ある程度の距離を常に保って画像を撮り続けるようにプログラムされているとのことです。

Amazonでは宅配サービスへの利用も検討されています。インターネットで商品を注文すると、直接注文主の自宅に向かうというわけです。途中で事故が生じたらどうなるのか(米国だと撃ち落とされる可能性が本当にあります!)、といった議論を呼んでいる最中ですが、私たちの生活を大きく変えるかもしれない無人化技術が今や実用化の局面を迎えていることは間違いありません。わくわくしますね。

実はこのうち、紹介されていたような無人ヘリコプターを活用して(もちろん他の技術と組み合わせて)新しいサービスを開発しようと、ある企業のコンサルティングで提案しています。そんなに遠くない将来、「なるほど!」「それはいいね!」と言ってもらえるサービスが実現すると信じています。