1月17日(土)に放送されたNHKスペシャル「シリーズ阪神・淡路大震災20年
第1回 大都市再生20年の模索」には重い教訓が含まれていました。
6434人もの命が奪われ、11万棟もの住宅が全壊した「阪神・淡路大震災」。あれから20年、その格闘の道のりを2回シリーズで伝える番組でした。
1回目は、復興20年の最前線に立った行政担当者の模索や決断、そして「本当にあれでよかったのか」という思いを追うものとなっていました。“奇跡の復興”を遂げたとされる神戸には今ビルが立ち並び、交通網も整備され、災害に強い街づくりが行われてきました。しかしその一方で、一部の地域では復興が計画通りに進まず、空き地のままのところが残ります。復興住宅が高齢者ばかりとなり、「孤独死」も相次ぐといった課題を抱えたままです。
この復興政策の先頭に立った行政担当者は、自分たちの選択が正しかったのか、20年たった今も自問自答し続けています。彼らは、前例がない中で、国との交渉などを重ね、復興の道筋の選択と決断を行ってきました。その中には例えば新長田地区のように、下町のよさがすっかり消えた上に、ショッピングモールに生まれ変わったはずの商店街がゴーストタウン化してしまった失敗例もあります。
この点は以前にも、ETV特集「“復興“はしたけれど~神戸 新長田再開発・19年目の現実~」にて採り上げられた問題が改めて検証されていました。
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住民の「早く商売を再開したい」という気持ちと、「安全な都市に生まれ変わらせたい」という行政担当者たちの気持ちのせめぎ合いだったのでしょう。時間との闘いに追われて、よかれと考えて推進したことが裏目に出たのでしょうから、単純に断罪はしたくありません。
でもやはり住民と膝つき合せて、「本当にこうした形での復興が住民が望む姿なのか」という真摯な問い掛けを何度もやっておけばよかった、というのが偽らざる行政担当者の気持ちだったように感じられます。この後悔を東日本大震災、そして今後起きる大災害からの復興の際に活かして欲しいと切に願います。