地方再生の“招き人”たちは今日も軽やかに進む

ビジネスモデル

地域再生。最近、小生も幾つか関わりと関心を持つようになっており、注目しているテーマだ。簡単でないことは、屍累々といった過去10年以上の「実績」が物語っている。また一部の成功例(「ナポレオンの村」など)が過度にもてはやされていることも、逆にその難しさを物語るものだろう。

そんな中、録画してあったTV番組で面白いものを観た。12月11日(金)の金曜EYE(NHK総合 関東甲信越版)で放送された「千客万来 ふるさとに奇跡を! “招き人”大集合」である。知恵と情熱でつまずきのパターンを乗り越えようとしている人たちが紹介されていた。地域再生のヒントになるものだった。

一組めは、正能茉優さんと山本峰華さんの2人組による特産品のプロデュース。若者目線で、地方の特産品のパッケージや売り方を変え、プロデュースするやり方だった。2人は普段はそれぞれ大手広告代理店と情報サービス企業に勤めながら、週末などを利用してプロデュース会社(ハピキラファクトリー)を運営している。蛍光色の枡(外人パーティ用)、ハート型の栗鹿の子、カボチャ焼酎などユニークなものばかりだった。

2人目の招き人は茨城県庁国際観光推進室に勤める役人の女性。外国人観光客を呼び込む取り組みを任されている。国営ひたち海浜公園、鹿島神宮、牛久大仏など地元に以前からありながら注目されていなかった観光素材を外人目線で掘り起し、インバウンド観光客増加につなげている。最近では新たな取り組みとして、海外の学生の修学旅行を招いて、県内の学校を見学してもらい、学生交流を成功させている。面白い(しかも費用対効果も高い)取り組みだ。

3つ目は長野県下條村の村長。U/Iターンに成功し、かつ合計特殊出生率2.03という今どき凄い数値を示す、「子どもが育てやすい村」である。昔ながらの「中央に陳情して公共投資をしてもらう」(これは無駄な投資をしやすいし、地元財政負担が生じて将来世代にツケを回すことになる)というのを止め、インフラは住民がボランティアで整備し、節減した予算で子育て世代の移住を支援する取り組みを実施、成功しているのだ。これこそ身の丈にあった地方再生策だと思う。

4つ目は栃木県鹿沼市でシャッター通りを再生しつつある、都会から流れて住み着いたカフェ店主・風間教司さんである。自らの店の経営はもちろん、店(古着店、雑貨店、レストランなど)を始めたい人に支援を続けている。最初は小さなスペースを格安で貸してトライを始めてもらう。試行錯誤の後、やがて少しずつ商売のコツを覚えて売れるようになっていく。そんなプロセスで新しく店が増えやがて30店になろうとしているという。地道だが凄いことである。