地域づくりの熱血リーダーの源は現場取材力

ビジネスモデル

最近関わっているプロジェクトの一つにて地方活性化がテーマになっている。そのせいもあり、また元々東北には縁があり、NHKの「東北発 未来塾」を時折観ている。

9月14日(月)に放送された「地域づくりのチカラ」第2週は「哲ちゃん館長 熱血教室! 地域を“自立”させるには?」。熱血カリスマ・リーダー、豊重哲郎さんから学ぶ「地域づくりのチカラ」はとても納得性の高いものだった。

舞台は鹿児島県・柳谷集落。日本中から注目され、地方再生のモデルケースとなった”やねだん”。観光地もない、産業もない、若者もいない…と、存続の危機に陥っていたとのこと(この「若者もいない」というところが「ナポレオンの村」のようなドラマと違う現実だろう)。

行政に頼らない村おこしを成功させるため、20年前、集落のリーダーに就任した豊重さんが実行したことは何か?まずは軍資金づくりだったという。

豊重さんは最初に、地域おこしの”原点”となった場所、芋畑へ塾生たちを案内した。もとは耕作放棄地。地域再生の資金集めのために目を付けた。少し耕せば作物が育つが、問題は人手。そこで地元の高校生に声をかけ、集落の高齢者たちに向けてメッセージを発信した。「生のイチローを観に行きたいので、畑を貸してください!」と。いいなぁ。

豊重さんの読み通り、耕作放棄地を無料で貸すという高齢者が続出したのだ。さらに、初めて農作業をする高校生たちの姿を見かねたお年寄りが次々と手伝ったのだ(これも作戦のうち)。

自治会で運営しているので、収穫した作物の売り上げは集落が自由に使える「自主財源」となった。次に豊重さんが掲げた目標は、「町内会費を無料にしよう」。畑作業の参加者はさらに増え、芋の収穫は倍増。その財源を元手に、焼酎づくりなどの6次産業もはじめ、町内会費の無料化を実現したのだ。

国からもらう補助金と違い、集落で必要な物にすぐに使えるのが自主財源の魅力。戦略家・豊重さんは、さまざまな形で集落の人たちへ「還元」していった。運動不足解消とともに、話題づくりにもなる健康器具を導入。さらに、一人暮らしのお年寄りの家を対象にヘルプベルを設置。安全対策の還元だ。素晴らしいリーダーシップだと思う。

地域づくりのアイデアを出し、実現してきた豊重さんが最も大切にしてきたのは”取材力”だという。自分の目と耳で地域の人を見て、状況を分析するという意味だ。

「大切なのは、取材力。人を見る、状況を見る。目と耳で「やねだん」を見ているから、”台風が来たら、あそこからまず先に見ないといけない”、”ばあちゃん、タクシーが来てたね、大丈夫かい?”って。目配り、気配り、心配りが、自分の大きな財産になってくる。その思いが、俺流に解決策を考える、俺流に考え付く、俺流にアイデアを出す、といところにつながる。習慣づけていったら絶対できます。だから、絶対外を歩きなさい、外を見なさい」と。

こればっかりは地元に根付いていないとできない相談だ。