保守的な営業組織を改革するには「出たとこ勝負」ではなく、「抵抗」を予想し、効果的な対処策をあらかじめ考えておく必要がある。
~営業改革を考える (8) 評価者の考え方が変わらねば営業は変わらない~ の続き
営業組織というものは他の組織以上に保守的になりやすい。特に経営トップが営業出身でない場合、「へたに手を付けると営業マンが反発する、またはやる気をなくす」と言われると、途端に腰が引けがちになり、他にくちばしを挟む人が現れにくい。つまり「聖域化」しやすいのである。
しかし「聖域化」して最後まで着手に迷う割に、いったん会社全体が危機的状況に陥ると途端に組織の枠組みを変え(つまり組織長の首のすげ替えをして)、あとは勢いのままドタバタと変えようとすることが多いようだ(小生も身近な会社で目の当たりにしたことがある)。
問題はそれからだ。トップダウンで押し切って強引に進めるが、納得や共感を得られないまま大半の営業マンに実質的に無視されてしまうケース。従来の改善活動と同様に現場からの積み上げで進めようとして、議論百出したあげく多様な関係者の意見調整が進まず、結局頓挫するケース。
両極端だから悪いという話ではない。予想すべき「抵抗」に対し無策であることが問題なのである。
保守的で、やり方を変えることにあまり慣れていない営業組織で思い切った改革をしようとしたら、「変革への抵抗」が様々な形態をとって噴出することは驚くに当たらない。
肝心なのは、そうした「抵抗」を予想し、対抗・対処策をあらかじめ考えておくことである。いわゆる「チェンジ・マネジメント」であり、営業組織の変革にこそ必要な考え方である。
チェンジ・マネジメントの方法論は一様ではない。弊社でも幾つか異なるアプローチを用意している(小生がいた頃のADLというファームはこういうことが得意だった)。企業文化や当該組織の置かれている状況によって適合度合が違うためである。
ただ間違いなく言えるのは、計画・準備が必須であることと、変革対象の人たちの「変革受容度」をモニタリングすることの重要性と実施の難しさである。
(本稿は2013年4月のコラム記事に加筆修正したものです)