民主党が政権を取った数年前、大いに議論になったのが八ッ場ダムの建設中止の是非だった。
元々は治水対策として計画された同ダムは、現代ではその本来の目的をかなり失い、公共事業頼りの悪しき典型例と自然破壊の象徴とされたのだ。しかし結局は、既に計画は進んでおり、村じゅうがダム建設を前提で動き出した後の転換は難しかったのだ。退去に同意し補償金を生活再建に充てることにしていた住民からは「今更止めるなどとふざけたことをぬかすな」という怒りの声が湧き上がり、民主党政府も「中止の取りやめ」を宣言せざるを得なかったのだ。
http://kaze.shinshomap.info/special/21/01.html
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%85%AB%E3%83%83%E5%A0%B4%E3%83%80%E3%83%A0
そんな八ッ場ダムの最近の建設風景が詳しくテレビ放映された。小生の好きな探検バクモンの7月19日(水)放送、「八ッ場ダム」という回だ。
http://www4.nhk.or.jp/bakumon/x/2017-07-19/21/18677/1665207/
ダム建設の是非はさておき、巨大建築物の工事現場の面白さを目の当たりにした。今現在、日本で巨大ダムを建築しているのはここだけという。つまり日本のダム建築の技術の粋がここに集約している訳だ。
膨大な水量(1億トン!)がもたらす巨大な水圧を支えるため、いかに頑丈な岩盤を探し出してコンクリートとの隙間をなくすか。コンクリートを強くするため、そのためセメントを少なくするため、石の大きさを3レベルに振り分けた上でいかに正確な割合で混じらせて隙間を少なくするか。そして最後に、ミルフィーユのように何層も重ねて整地・コンクリート工事を行い、そこにわざと薄い鉄板を入れて予想外の亀裂が生じないようにする、余分な水分が含まれないよう雑巾で水を吸い出す、等々。
ニッポンの建築技術は世界最高水準と言われるだけあって、さすが緻密だ。様々な建築現場の人材の質が落ちたと言われる昨今だが、ここは本当に最高水準のダム野郎たちが頑張っているのだと感じた。