住宅業界は旧態依然からまともな業界に変わるのか

ブログ社会制度、インフラ、社会ライフ

少し前から住宅業界関係のプロジェクト(PJT)に再度関与しており、あれこれと調べながらまとめ役をやっています。PJTメンバー数も少なくないのですが、(他のPJTと同様に)かなり利害関係者が多いので、構造が複雑です。

なかなか厄介な課題に日々直面していますが、社会的意義も高く、新しいチャレンジとして楽しんでいます。

PJTメンバーの皆さんは一生懸命やっていただけるので有難いのですが、実は一筋縄でいかない業界なので、合理性だけでは紐解けません。あっちを突っつき、今度はこっちを突っつきとやっています。

そもそも日本の住宅政策は「なんでこういう制度になっているの?」「なぜ今頃になって補助金の内容がこう変わってしまうの?」などといった疑問を持たざるを得ない、場当たり的なものが少なくありません。

以前なら太陽光発電パネル設置とか耐震基準だとか、最近なら「省エネ住宅」の基準など、本当に「猫の目行政」の名を欲しいままにしています。

多分、多くの政治家に懸命に働き掛ける各地のハウスビルダーや建材メーカー・ハウスメーカーが少なくないのでしょうね。つまり未だに供給者論理が優勢なのです。

随分最近まで、住宅の品質保証や性能保証の制度と業界の実態は、とても恥ずかしくて先進国とは言えないレベル・内容のものがずっと維持されていました(以前のコラム記事もご参考に)。自動車業界の人に説明したら、多分「ふざけるな」と怒り出しそうなレベルなのです。

同じ耐久消費財なのに、外国に輸出するので品質を磨かざるを得ないか、国内消費者相手だけなので国内論理で誤魔化せるか、の違いかも知れません。

それでもここ10年ほどで住宅に求められる性能基準が着実に、そして格段に上がってきたのも事実です。そして合理性を重んじるようになっているように感じます。

これは業界関係者には大変ですが、日本の社会にとってはいいことです。きっと監督庁である国交省の役人の体質と業界との関係が少しは変わり(消費者庁でなく国交省が監督庁であることがそもそも問題なのですが)、政治家が口出しできることが減ったこと、消費者の塊である社会と業界の関係がネット社会の浸透によって大きく変わりつつあること、そしてカーボンニュートラルなどの社会的要請のおかげでしょう。

今回、冒頭で申し上げたPJTを通じて、業界にも社会にも一石を投じることができるのではないかとこっそり思っています。