会社を拡大していく中での中途入社社員への文化浸透のための方策は?~The Owner『経営者のお悩み相談所』の第9回記事に関する解説~

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再び、経営者向けウェブメディアThe Ownerの『経営者のお悩み相談所』というコーナーで執筆した相談応答記事について、なぜそうした見方をしているのか、その意義や背景などをお伝えしたいと思います。

今回は第9回の記事『会社を拡大していく中での中途入社社員への文化浸透のための方策は?』についてです。

【今回のご質問】

会社を拡大していく中で中途入社社員への文化浸透に苦戦しています。なにか特別な施策、もしくは採用の際に重視すべき部分や必ずする質問はありますか?

記事は次のように始まります。

中小企業の成長のため中途採用はほぼ不可欠。では中途採用者に対し自社の企業文化をどう浸透させていくのか。難しいイシューですが、基本は極めてオーソドックスです。まず企業文化とは何かを理解した上で、自社にとってその中核となるべきは具体的にどういうものかを明確にしてから、制約を意識しながら現実的な対処法を考えるということです。

企業文化というものを理解する

まず、企業文化とはどういうことかと改めて考えてみましょう。抽象的な概念なので色々な定義があり得ますが、端的に言えば「企業構成員の間で共有されている価値観(特に規範・信念など)、そしてそれらが反映される行動・思考様式のこと」を指します。要は、「何か問題や仕事テーマが発生したときに、その組織のメンバーは通常どういうスタンスでそれに取り組むのか」のパターンが企業文化だと言っていいでしょう。

・・・と、今回は「企業文化」という曖昧模糊とした概念についてのトピックなので、その定義から入っています。続いて…

 その意味で企業文化というのはかなり幅広い要素を含み、しかも客観的には定義しづらい、非常に曖昧なものなのです。とはいえ、それぞれの会社の企業文化とか「カラー」とか言われるものは間違いなくあります。特に我々コンサルタントのように色々な会社に関わる職種の人間にはそれを感じる機会が少なくありません。同じ業界でありながら、会社Aは何でも慎重に事に当たる文化を持っているのに、会社Bはとりあえずやってみてから次にどうするか考えるという文化を持っている、なんてことはよくあります。 

・・・と、経営コンサルとしての経験から普段感じていることをお伝えしています。ここでお話していることは具体的に話すと面白いのですが、それをブログのような公開の場でやると微妙なので、あえて抑えめにしています。

 問題は、この企業文化というものは内部にいる人には(当たり前過ぎて)客観視できないのです。むしろ社外の人のほうがよく見えるものです。ちょうど自分の口臭は分からないけど、人の口臭には敏感になるようなものです。それでも他社の人から「お宅は××の傾向がありますね」と何度も指摘されると、それが自社の企業文化の一面だということには気づくものです。

・・・と、ちょっと別方向からの切り口でアプローチしています。要は、「企業文化を意識するのはどんな場面か、それは稀なのか」という問いに対し、「意外と日常的に気づかされているのではないですか」と問い掛けているのです。

でもそんなふうに外部からよく指摘されるようなものは一面に過ぎず、自社の企業文化のすべてではあり得ません。企業文化というものは多面的であると考えておくのが妥当でしょう。そして企業文化にはポジティブな面とネガティブな面の両方があることも(人間の性格と同様)、実感として理解できますよね。 

ここで、ようやく本題に入っています。上っ面ではなく本質的な自画像としての企業文化というものは多面的な考察なしには把握できないということ、中小企業が大企業に成長する過程では、大抵のケースで企業文化はある程度変わってしまうものだ、といったことをお話しています。そしてそうした考察の上で、このあと「では、現実解として」「より厚みを増した企業文化を形成する」ためにはどう考え、どう行動すればいいのかを語ろうとしているのです。

(以下、記事に続く。無料会員の登録をしてあげてください)