中小・零細企業こそ外部の知恵を借りよ

ビジネスモデル

最近、あるビジネス関連のネットサ-ビス会社から個人的に、経営改善の方策について相談されたことがあります。

簡単に状況説明を受けての、当方からの助言としては、まず固定費削減策。具体的にはシステム関連費の見直しのために、既存業者以外にも声を掛けて提案を受けること、そのために無駄な機能を削ぎ落してシンプルな仕様にすることの2点が中心です。

もう一つは収入アップのための施策案の棚卸です。実は既に一つ、知人の会社と組んで取り組んでいたらしいのですが、十分な検討がないままの「決め打ち」だったせいか、あまり成果が上がっていないとのことです。まずはその既存取り組みの改善を含め、改めて選択肢の洗い出しをすることを薦めました。

いずれもオーソドックスな経営改善策です。不思議なのは、その会社の経営者自身が大手有名コンサルティング会社出身者であり、そのサービスに関わる周辺の人たちにもいわゆる「コンサルタント」がわんさかいることです(まぁその大半はただのIT/Web屋なのかも知れませんが)。それなのにここまでのところ、まともな経営改善策が採用・実行されていないことは極めて残念です。いわゆる「紺屋の白袴」の典型なのです。

尤も、小生も軽く「相談」されただけで、きちんと仕事として依頼されたわけではないので、現状分析や課題についての考察を深くやった上での助言を差し上げたわけではありません。それでも固定費削減策に関しては、すぐにできるし効果が出るはずです。でも収入アップのための施策案については、もっと色々な情報を基に仮説を作る必要があり、その時間を無料でひねり出すほどの義理は当方にはありません。本気でやるのなら有料で依頼をしてもらうしかないのですが(実際のところ時間的に難しいのも事実ですが)、なまじ「元コンサルタント」の人たちには、そのプライドを乗り越えるのは難しいのではないかとみています。

多分、世の中にはこんな事情で伸び悩んだままの中小・零細企業の中途半端なサービスが満ち溢れているのでしょう。小生は大企業の決断の遅さによく悩まされ、時折苦情を申し上げますが、それでもその幾つかは遅まきながらも依頼をして下さり、それで前進しています(もちろん、もっと早く依頼してくれればそれだけ早く結論が出ていたのにとは思うことが多いのですが)。それに対し、お金のない中小・零細企業は外部の知恵を借りることにすら臆病になり、ますます取り残されるわけです。悪循環ですね。

そのサポートをすると謳っている金融機関や税理士の人たちには、自らそうした経営改善を支援するだけの知恵や経験があることは滅多にありません(小生の先輩にもそういう分野の先輩方が一杯いらして、ホンネではそういうことらしいです)。彼らも自らの中途半端なプライドを捨てて、「まともなコンサルタントを有料で雇いなさい」とアドバイスできるかどうか。かなり難しいことなのでしょうね。