中国の企業家というハードな生き方

グローバル

撮り貯めた番組の多くを観る時間がないまま消さざるを得ないことが多い。しかし幾つかは随分遅れてではあるが鑑賞してみると凄い内容に衝撃を受けることがある。昨年撮ったNHK BS1スペシャルの「チャイナ・ブルー~ある企業家の記録~」はまさにそういった番組だった。
http://www.nhk.or.jp/docudocu/program/2443/2409226/index.html

中国で大手引っ越し会社「蟻の引越社」を経営する李浪氏。「何も隠さない」と公言する氏の言葉に、中国人の馬ディレクターは、李社長の生活に5年間密着し、普通なら考えられない場面と本音を至近距離から映像に収めてきた。見たことのない赤裸々な映像で現代中国社会の深層に迫る異色のドキュメンタリーといえる。

20年前に妻と2人で始めた会社は急成長、豊かさを手に入れた。しかし李社長の心は満たされず、妻と愛人との間で揺れる二重生活も破綻の危機の中にある。会社をさらに成長させるために地方役人や地方の顔役にキックバックという名の賄賂を渡すことを幹部と大っぴらに話すところまで映像に収めている。実にショッキングな場面の連続だった。

観終わっての感想。中国の実像をまともに観た気がする。こんなに開けっぴろげにして、商売上まずくはないのか、逮捕されたりしないのか、心配になってしまった。言い換えれば、こうしたことをしない限り会社は生き残れないが、一歩間違えれば部下に裏切られて刑務所行きとなる。本当に「中国人でなくてよかった」と心から思う。