ロンドン五輪の閉会式で英国の世界的歌手がこれでもかというほど出演したことに関連し、我が娘がコメントした。「東京も開催地に立候補しているんでしょう?もし日本で開催したらどんな人が歌うのかな?」と。世間と同様、女子高生たるウチの娘は無暗に多くの現代のJ-POP/Rock歌手と持ち歌を知っている。その彼女でさえ海外に名が通っている人はほとんどいないという。
これは結構難問である。本来なら紅白歌合戦の常連たる大御所達が日本の歌手の代表として相応しいのだろうが、世界的に放送されたときに日本人は胸を張れるのか?小生は北島サブチャンの「与作」とか石川さゆりの「天城越え」とか凄い歌があるとは思うが、何せローカルである。言語が、ではない。感覚が、である。日本語で歌っても世界に通用する歌手というなら、布施明とか(先ごろ亡くなった尾崎紀世彦とか)数人が挙がりそうだが、日本国内でさえもうピークを超えたという扱われようである。
かといって国内で人気の高いゆずでもいきものがかりでも、アジアの一部で知られているくらいで、やはりすっかりローカルなのである。サザンやエグザイル、浜崎あゆみでさえ、欧米人からすれば「この兄ちゃん達、姉ちゃん、誰?」と言われるくらい無名らしい。AKB48だと、日本人から猛反対が出るだろう。
じゃあ米国でちょっとは知られているのでパフィーかとなると、今度は日本人の大多数から「なんであの姉ちゃん達なの?」と批判されてしまうだろう。X JAPANが健在だったら有力候補だったろうが、もうない。海外でのCDリリースとライブをやっている他の有名歌手としてはB’Zや宇多田ヒカル(米国)、福山雅治(中国)などがいるそうだが、日本人ファンを除いた数字としては商売にならないレベルだと言われる。ここにもガラパゴス現象が存在するのである。
ここまで書いて思ったのは、ロンドン五輪の効用は先進国での開催にポジティブになる気分を、日本人の何割かにもたらしてくれたことかも知れない。たとえ閉幕式の出演歌手がローカルな人たちばかりでも構わない。きっとバックの大画面で、初音ミクとピカチュウが素晴らしく可愛いダンスを見せてくれるだろう。